歯が小さい「矮小歯」の原因と治療法は?|費用や期間についても解説

こんにちは。医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科の理事長の尾立卓弥です。札幌で矯正歯科を検討中の方は、ぜひ医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科でご相談ください。「他の人より歯が小さい」「歯の形が気になる」といったお悩みは、遺伝などが原因の「矮小歯(わいしょうし)」かもしれません。この記事では、矮小歯かどうかを判断するチェック方法から、放置するリスク、見た目を改善する治療法まで網羅的に解説します。ダイレクトボンディングやセラミックなどの治療法を費用・期間とともに比較し、あなたに最適な選択肢と後悔しない歯科医院の選び方がわかります。
1. もしかして矮小歯?歯が小さいと感じる方のためのセルフチェック
「他の人と比べて自分の歯が小さい気がする」「歯と歯の間に隙間があって気になる」と感じていませんか?もしかしたら、そのお悩みは「矮小歯(わいしょうし)」が原因かもしれません。矮小歯は、大きさや形が特徴的な歯であり、見た目のコンプレックスだけでなく、歯並び全体に影響を及ぼすこともあります。まずは、ご自身の歯が矮小歯の可能性があるのか、基本的な知識とセルフチェックで確認してみましょう。
1.1 矮小歯とはどのような歯のことか
矮小歯とは、平均的な歯の大きさと比べて著しく小さい歯のことを指します。病名ではなく、歯の形態異常の一種とされています。大きさの明確な基準はありませんが、一般的には標準的な歯の大きさから2標準偏差以上小さい場合を指すことが多いです。すべての歯が小さい場合と、一部の歯だけが小さい場合があります。
ご自身の歯が矮小歯に当てはまるか、以下の項目でセルフチェックをしてみましょう。
- 隣り合っている歯と比べて、特定の歯だけが極端に小さい
- 歯の先端が細く尖っている、または丸みを帯びている
- 歯と歯の間に隙間ができており、「すきっ歯」の状態になっている
- 乳歯が抜けた後に生えてきた永久歯が、乳歯のように小さい
- 全体的に歯が小さいため、笑った時に歯茎の見える面積が広い気がする
これらの項目に複数当てはまる場合は、矮小歯の可能性があります。ただし、これらはあくまで簡易的なチェックです。正確な診断のためには、必ず歯科医師に相談することが重要です。歯科医院では、レントゲン撮影などで歯全体の大きさやバランス、顎との関係などを詳しく検査し、適切な診断を行います。
1.2 矮小歯になりやすい歯の種類(円錐歯・栓状歯)
矮小歯の中でも、特に特徴的な形をしているものに「円錐歯(えんすいし)」や「栓状歯(せんじょうし)」があります。これらは、特定の歯に現れやすい傾向があります。
それぞれの特徴と、好発部位(現れやすい場所)を以下の表にまとめました。
| 種類 | 歯の形状と特徴 | 好発部位 |
|---|---|---|
| 円錐歯 | 歯の先端に向かって細くなる、円錐形(コーン型)をしています。鉛筆の先のように尖った形が特徴です。 | 上の顎の側切歯(中央から数えて2番目の前歯)に最も多く見られます。 |
| 栓状歯 | 歯冠(歯の見えている部分)が樽のような形、あるいはビールの栓のような形をしています。円錐歯よりも丸みを帯びた形状です。 | 円錐歯と同様に、上の顎の側切歯に多く見られますが、親知らずなどに現れることもあります。 |
円錐歯や栓状歯は、特に上の前歯に現れることが多く、見た目の印象に大きく影響します。また、その特殊な形状から隣の歯との間に隙間ができやすく、歯並びが乱れる原因となることも少なくありません。もし、ご自身の前歯がこのような特徴的な形をしている場合は、審美的な改善や機能的な問題を解決するために、歯科医院で相談してみることをお勧めします。
2. 歯が小さい矮小歯になってしまう主な原因
平均的な歯のサイズよりも明らかに小さい「矮小歯」が生えてくる原因は、残念ながら現代の医学でも完全には解明されていません。 しかし、いくつかの要因が複雑に関与していると考えられています。ここでは、矮小歯の主な原因として現在考えられている「先天的な要因」と「胎児期の栄養状態や病気の影響」について詳しく解説します。
2.1 遺伝など先天的な要因
矮小歯の最も大きな原因と考えられているのが、遺伝をはじめとする先天的な要因です。 ご両親や祖父母、ご親族に矮小歯の方がいる場合、その遺伝情報が受け継がれ、お子さんにも矮小歯が現れる可能性が高まります。これは、歯の大きさや形を決定づける設計図が、遺伝子によってプログラムされているためです。
また、歯が作られる過程での「退化現象」も原因の一つとされています。 特に矮小歯が好発する上顎の側切歯(真ん中から2番目の前歯)や親知らずは、もともと退化しやすい傾向にある歯です。 人類の進化の過程で顎が小さくなるにつれて、歯もそれに合わせて小さくなったり、生えてこなくなったり(先天性欠如)することがあり、矮小歯もその現象の一つではないかと考えられています。
さらに、特定の全身疾患や症候群が原因で矮小歯が引き起こされることもあります。 これらは非常に稀なケースですが、歯の形成異常を症状の一つとして伴うことがあります。
| 疾患・症候群の例 | 概要 |
|---|---|
| ダウン症候群 | 染色体異常による疾患で、円錐形の矮小歯など、歯の形態異常が見られることがあります。 |
| 下垂体性小人症 | 成長ホルモンの分泌不全により、全体的に歯が小さくなる(全体的矮小歯)ことがあります。 |
| 外胚葉異形成症 | 歯や髪、汗腺などの発育に影響が出る遺伝性疾患で、円錐形の歯(円錐歯)などの異常が見られます。 |
| 口唇口蓋裂 | 唇や口蓋が裂けた状態で生まれる疾患で、裂がある側の歯に矮小歯や先天性欠如などの異常が現れやすいことが知られています。 |
2.2 胎児期の栄養状態や病気の影響
歯の原型となる「歯胚(しはい)」は、お母さんのお腹の中にいる胎児期に作られ始めます。 この非常に重要な時期に、母体の健康状態や栄養状態が、赤ちゃんの歯の形成に影響を与える可能性があります。 例えば、歯の石灰化(硬くなること)に不可欠な栄養素が不足すると、歯が正常に発育せず、結果として矮小歯になることがあると考えられています。
特に重要とされる栄養素は以下の通りです。
- ビタミンD: カルシウムの吸収を助け、歯や骨を丈夫にする働きがあります。 不足すると歯の石灰化がうまくいかず、形成不全の原因となることがあります。
- ビタミンA: 歯の表面を覆うエナメル質の土台を作るのに必要です。
- カルシウム・リン: 歯そのものを作る主成分であり、丈夫な歯には欠かせません。
また、妊娠中の母親が風疹などの感染症にかかったり、何らかの病気によって栄養障害に陥ったり、特定の薬剤の影響を受けたりすることも、歯の形成に異常をきたす一因となり得ると指摘されています。 しかし、これらの要因が直接的に矮小歯を引き起こしたと特定することは難しく、多くは遺伝的要因と複雑に絡み合っているか、あるいは原因不明であるのが現状です。
3. 矮小歯を放置する3つのリスク
矮小歯は、それ自体が病気というわけではないため、痛みなどの自覚症状がなければすぐに治療が必要とは限りません。 しかし、見た目の問題だけでなく、お口全体の健康に影響を及ぼす可能性があるため、放置することにはいくつかのリスクが伴います。 ここでは、矮小歯を放置することで起こりうる主な3つのリスクについて詳しく解説します。
3.1 見た目のコンプレックスにつながる
矮小歯が特に問題となりやすいのが、審美的な側面です。特に、笑顔になったときに目立ちやすい上の前歯の隣の歯(上顎側切歯)は、矮小歯の好発部位です。
周りの歯と比べて極端に小さかったり、円錐状に尖っていたりする形は、歯並び全体のバランスを乱し、見た目のコンプレックスの原因となることがあります。 歯が小さいことで歯と歯の間に隙間ができて「すきっ歯」に見えてしまったり、左右非対称な印象を与えてしまったりすることもあります。 こうした見た目の問題から、人前で話すことや笑うことに抵抗を感じるようになり、精神的なストレスにつながるケースも少なくありません。
3.2 すきっ歯など歯並びが悪化する原因になる
矮小歯は、見た目だけでなく、歯並び全体やかみ合わせにも悪影響を及ぼすリスクがあります。 歯は、隣り合う歯とお互いに支え合って正しい位置を保っていますが、矮小歯があると、そのバランスが崩れてしまうのです。
具体的には、矮小歯の小ささゆえにできてしまったスペースに、隣の歯が倒れ込んできたり、移動してきたりすることがあります。 これが、すきっ歯(空隙歯列)や、歯並びがガタガタになる叢生(そうせい)といった不正咬合を引き起こす原因となります。 放置すると、かみ合わせのバランスが全体的に崩れ、特定の歯に過度な負担がかかったり、顎関節症の原因になったりする可能性も否定できません。
| 問題の種類 | 具体的な症状 |
|---|---|
| すきっ歯(空隙歯列) | 歯と歯の間に隙間が生じ、食べ物が挟まりやすくなるほか、発音にも影響が出ることがある。 |
| 歯の傾斜・移動 | 空いたスペースに隣の歯が倒れ込み、全体の歯並びが乱れる。 |
| 不正咬合 | 上下の歯が正しく噛み合わなくなり、咀嚼機能の低下や顎への負担増加につながる。 |
3.3 虫歯や歯周病になりやすい
矮小歯によって歯並びに隙間や段差ができると、歯ブラシが届きにくい場所が生まれ、清掃性が低下します。 歯と歯の間に食べカスや歯垢(プラーク)が溜まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。 矮小歯自体だけでなく、隣接する健康な歯も虫歯や歯周病にかかりやすくなるため注意が必要です。
また、矮小歯は歯の根(歯根)も短い場合が多く、歯周病が進行して歯を支える骨が溶けてしまうと、正常な歯よりも早くぐらつき始め、最終的に歯を失うリスクが高いとも言われています。 日々の丁寧なブラッシングはもちろんのこと、歯科医院での定期的なクリーニングで、お口の中を清潔に保つことが非常に重要になります。
4. 歯が小さい矮小歯の治療法を費用や期間とあわせて解説
歯が小さい「矮小歯(わいしょうし)」の治療は、主に歯の形や大きさを整える「審美修復治療」と、歯並びや噛み合わせを改善する「歯列矯正」の2つに分けられます。矮小歯の状態や、患者様がどのような口元になりたいかによって、最適な治療法は異なります。場合によっては、これらの治療を組み合わせて行うこともあります。 ここでは、代表的な4つの治療法について、それぞれの費用や期間の目安、メリット・デメリットを詳しく解説します。
4.1 【治療法1】ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは、コンポジットレジンと呼ばれる歯科用のプラスチックを歯に直接盛り付け、歯の形や大きさを整える治療法です。 歯を削る量を最小限に抑えられる、あるいは全く削らずに治療できる場合があるため、歯への負担が少ないのが大きな特徴です。 治療は1回の通院で完了することが多く、短期間で見た目を改善したい方におすすめです。
4.1.1 ダイレクトボンディングの費用と期間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 費用(自費診療) | 1歯あたり 2万円~5万円程度 |
| 期間 | 1日(1回の通院で完了することが多い) |
4.1.2 メリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・歯を削る量が少ない、または削らない ・治療期間が短い(多くは1日で完了) ・他の審美治療に比べて費用が安い ・破損しても修理が比較的簡単 |
・セラミックに比べて強度が劣る ・時間が経つと変色することがある ・適用できる症例が限られる ・歯科医師の技術によって仕上がりが左右される |
4.2 【治療法2】ラミネートベニア
ラミネートベニアは、歯の表面を薄く削り、セラミック製の薄い板(シェル)を付け爪のように貼り付けて、歯の色や形、大きさを改善する治療法です。 セラミックを使用するため、天然の歯に近い透明感と光沢を再現でき、非常に審美性が高いのが特徴です。 また、変色しにくいため、長期間にわたって美しい状態を保つことができます。
4.2.1 ラミネートベニアの費用と期間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 費用(自費診療) | 1歯あたり 8万円~15万円程度 |
| 期間 | 約2週間~1ヶ月(通院2~3回程度) |
4.2.2 メリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・天然歯のような自然で美しい仕上がり ・変色しにくく、美しさが長持ちする ・セラミッククラウンより歯を削る量が少ない ・短期間で治療が完了する |
・健康な歯の表面を少し削る必要がある ・ダイレクトボンディングより費用が高い ・強い衝撃で割れたり欠けたりすることがある ・歯ぎしりや食いしばりが強い方には適用できない場合がある |
4.3 【治療法3】セラミッククラウン(被せ物)
セラミッククラウンは、矮小歯を全体的に削り、その上からセラミック製の被せ物(クラウン)を装着して歯の形や大きさを根本的に改善する治療法です。 歯を大きく削る必要がありますが、形や色の自由度が最も高く、矮小歯のサイズが極端に小さい場合や、他の治療法では対応が難しいケースにも適しています。 耐久性にも優れており、機能性と審美性の両方を高いレベルで満たすことができます。
4.3.1 セラミッククラウンの費用と期間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 費用(自費診療) | 1歯あたり 10万円~20万円程度 |
| 期間 | 約1ヶ月~2ヶ月(通院2~4回程度) |
4.3.2 メリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・審美性が非常に高い ・歯の形や大きさを大幅に変更できる ・強度が高く、変色もほとんどない ・ほとんどの症例に対応可能 |
・他の治療法に比べて歯を削る量が多い ・費用が高額になる ・場合によっては歯の神経の処置が必要になることがある ・一度装着すると修復が難しい |
4.4 【治療法4】歯列矯正
歯列矯正は、矮小歯自体の形を変えるのではなく、矮小歯があることによって生じたすき間や、乱れた歯並び全体を改善するための治療です。 ワイヤー矯正やマウスピース矯正といった装置を用いて、歯を適切な位置に動かし、バランスの取れた噛み合わせと美しい歯並びを目指します。 審美修復治療(ダイレクトボンディングやセラミック治療)を行う前に、歯を動かして適切なスペースを作ったり、すき間を閉じたりする目的で行われることが多いです。
4.4.1 歯列矯正の費用と期間
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 費用(自費診療) | ・部分矯正:30万円~70万円程度 ・全体矯正:70万円~150万円程度 |
| 期間 | ・部分矯正:数ヶ月~1年程度 ・全体矯正:1年~3年程度 |
4.4.2 矮小歯に歯列矯正が必要なケース
以下のようなケースでは、審美修復治療だけでなく歯列矯正も必要となることがあります。
- 矮小歯によって歯と歯の間に大きなすき間(すきっ歯)ができている
- 矮小歯だけでなく、全体の歯並びが乱れている
- 噛み合わせに問題が生じている
- ラミネートベニアやセラミッククラウンを入れるための適切なスペースがない
多くの場合、まず歯列矯正で歯並びと噛み合わせの土台を整え、その後にダイレクトボンディングやセラミック治療で矮小歯の形を最終的に仕上げるという「コンビネーション治療」が行われます。 これにより、見た目の美しさだけでなく、長期的に安定した機能的な口元を実現することができます。
5. 矮小歯の治療は保険適用になる?
矮小歯の治療を検討する際に、多くの方が気になるのが「保険は使えるのか?」という点でしょう。結論からお伝えすると、矮小歯の治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療となります。 しかし、特定の条件下では保険適用が認められたり、医療費控除によって費用負担を軽減できたりするケースもあります。
ここでは、矮小歯治療における保険適用のルールや、費用負担を抑えるための制度について詳しく解説します。
5.1 原則は自由診療(保険適用外)
矮小歯の治療が自由診療となる主な理由は、その目的が「見た目を改善する」という審美的な側面が強いと判断されるためです。 公的医療保険は、病気やケガなど、機能的な問題を回復させるための治療を対象としています。矮小歯は、それ自体が直接的に咀嚼(そしゃく)機能などに重大な支障をきたす「病気」とは見なされにくいため、保険適用の対象外となるのが一般的です。
しかし、自由診療には費用が全額自己負担になるというデメリットだけではなく、メリットも存在します。
| 項目 | 保険診療 | 自由診療 |
|---|---|---|
| 治療目的 | 機能回復(虫歯、歯周病など) | 審美性の向上、より高度な機能回復 |
| 費用 | 一部負担(1〜3割) | 全額自己負担 |
| 使用材料 | 国が定めた材料のみ(レジン、金属など) | 制限がなく、セラミックなど審美性・耐久性に優れた材料を選択可能 |
| 治療法の選択肢 | 国が定めた範囲内の治療法 | 最新の技術や多様な治療法から最適なものを選択可能 |
このように、自由診療では治療法や使用する材料に制限がないため、より自然で美しい見た目を追求したり、耐久性の高い材料を選んだりすることが可能です。矮小歯の治療では、見た目の仕上がりが非常に重要になるため、自由診療のメリットは大きいと言えるでしょう。
5.2 保険適用が検討されるケース
原則として自由診療となる矮小歯治療ですが、以下のようなケースでは保険が適用される可能性があります。
5.2.1 1. 矮小歯が原因で虫歯や歯周病になった場合
矮小歯は隣の歯との間に隙間ができやすく、食べかすが詰まりやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。もし矮小歯が虫歯になってしまった場合、その虫歯を削って詰め物(コンポジットレジンなど)をする治療自体は保険適用となります。
ただし、これはあくまで虫歯という「病気」に対する治療が保険適用になるだけであり、矮小歯の形や大きさを審美的に整えることまでを保険でカバーすることはできません。
5.2.2 2. 先天性疾患による咬合異常と診断された場合
矮小歯そのものではありませんが、「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常(噛み合わせの異常)に対する歯列矯正は、保険適用の対象となります。 例えば、「6歯以上の先天性部分無歯症(生まれつき永久歯が6本以上足りない状態)」などがこれに該当します。
矮小歯があり、かつ他の先天的な歯の異常(欠損など)が複数見られることで、噛み合わせに深刻な問題が生じていると診断された場合には、矯正治療に保険が適用される可能性があります。 この場合、治療を受けられるのは「指定自立支援医療機関」として届け出のある特定の医療機関に限られます。 ご自身が対象となるか気になる方は、まずはかかりつけの歯科医師や大学病院などで相談してみましょう。
5.3 費用負担を軽減できる「医療費控除」
保険適用とは異なりますが、年間の医療費が高額になった場合に、税金の還付を受けられる「医療費控除」という制度があります。
単に「見た目を良くしたい」という審美目的の治療は医療費控除の対象外です。 しかし、矮小歯が原因で「噛み合わせが悪い」「発音がしづらい」といった機能的な問題を改善するための治療であると歯科医師が診断した場合は、医療費控除の対象になる可能性があります。
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの1年間で、本人または生計を共にする家族が支払った医療費の合計が10万円(または総所得金額の5%)を超えた場合に申請できます。 矯正治療費やセラミックなどの費用だけでなく、治療のための通院交通費(公共交通機関)も対象となります。
申請には確定申告が必要で、歯科医院から発行された領収書は必ず保管しておきましょう。 詳しくは国税庁のウェブサイトで確認するか、お近くの税務署にご相談ください。 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁
6. 矮小歯の治療で後悔しないための歯科医院の選び方
矮小歯の治療は、虫歯など一般的な歯科治療とは異なり、歯の形や色、周りの歯とのバランスを整える審美的な側面が非常に重要です。そのため、治療の満足度は歯科医院選びで大きく左右されると言っても過言ではありません。納得のいく治療を受けるために、以下のポイントを参考にして慎重に歯科医院を選びましょう。
6.1 審美歯科治療の実績が豊富か
矮小歯の治療は、歯科医師の技術力や美的センスが仕上がりに直接影響します。特に、セラミックやダイレクトボンディングを用いた治療は、ミリ単位での精密な作業が求められます。そのため、審美歯科治療に関する十分な知識と経験、そして実績を持つ歯科医師を選ぶことが非常に重要です。
実績を確認するためには、まず歯科医院の公式ウェブサイトをチェックしましょう。多くの医院では、これまでの治療症例を写真付きで紹介しています。自分と似たような矮小歯の症例がどれくらいあるか、そしてその仕上がりが自分の理想と近いかを確認することが、医院選びの第一歩となります。また、歯科医師の経歴や所属学会(例えば、日本歯科審美学会など)も、その医師の専門性を判断する一つの指標となります。
6.2 カウンセリングが丁寧か
満足のいく治療結果を得るためには、患者と歯科医師との間で治療ゴールを共有することが不可欠です。そのためには、あなたの悩みや希望を親身に聞き、丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶ必要があります。初回のカウンセリングでは、以下の点を確認してみましょう。
| チェック項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対話の時間 | カウンセリングの時間を十分に確保し、こちらの話を急かさずに聞いてくれるか。 |
| 説明の分かりやすさ | 専門用語ばかりでなく、レントゲン写真や模型、イラストなどを使って素人にも分かりやすく説明してくれるか。 |
| 傾聴の姿勢 | 見た目のコンプレックスなど、デリケートな悩みに対しても親身に耳を傾けてくれるか。 |
| リスクの説明 | 治療のメリットだけでなく、考えられるデメリットやリスク、治療後のメンテナンスの重要性についても正直に説明してくれるか。 |
| 質問のしやすさ | 些細なことでも気軽に質問できる雰囲気があるか。 |
カウンセリングは、治療内容を理解するだけでなく、その歯科医師やスタッフが信頼できるかどうかを見極める重要な機会です。少しでも不安や疑問を感じたら、遠慮なく質問しましょう。
6.3 複数の治療法を提案してくれるか
矮小歯の治療法は一つではありません。ダイレクトボンディング、ラミネートベニア、セラミッククラウン、そして場合によっては歯列矯正など、様々な選択肢があります。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあり、費用や期間も異なります。特定の治療法だけを強く勧めるのではなく、あなたの歯の状態、ライフスタイル、予算、そして将来的なことも考慮した上で、複数の選択肢を公平に提示してくれる歯科医院が理想的です。
良い歯科医院は、それぞれの治療法の違いを明確に説明し、あなたが自分自身で最適な方法を選択できるようサポートしてくれます。「あなたの場合は、費用を抑えたいならダイレクトボンディング、長期的な美しさを求めるならセラミッククラウンが良いでしょう」といったように、あなたの価値観に寄り添った提案をしてくれるかどうかを見極めましょう。
6.4 医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科では矯正相談を行っています
矮小歯は、しばしば「すきっ歯」などの歯並びの問題を伴うことがあります。歯の形を整えるだけでなく、歯並び全体を改善することで、より審美的で機能的な口元を実現できるケースも少なくありません。もし歯並びにもお悩みであれば、審美歯科治療とあわせて矯正歯科の知見も持つ医院に相談することをおすすめします。
当院では、矯正歯科専門のクリニックとして、矮小歯と歯並びのお悩みに関するカウンセリングを無料で行っております。「矮小歯の治療と矯正治療はどちらを先にすべき?」「矯正でスペースを整えてから被せ物をしたい」といった具体的なご相談にも、専門的な視点からアドバイスをさせていただきます。見た目の美しさはもちろん、噛み合わせといった機能面も考慮した総合的な治療計画をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
7. 歯が小さい矮小歯に関するよくある質問
矮小歯について多くの方が抱く疑問に、Q&A形式でお答えします。治療を検討する際の参考にしてください。
7.1 矮小歯は子供でも治療できますか
お子様の矮小歯の治療は可能ですが、年齢やお口の成長段階によって最適な治療の開始時期が異なります。
乳歯が矮小歯の場合、永久歯への生え変わりに影響がなければ、特に治療を行わず経過観察となることがほとんどです。
永久歯の矮小歯で、セラミックなどの本格的な審美治療を希望される場合は、顎の骨の成長が完了する高校生以降(18歳前後)が治療開始の目安となります。成長期に被せ物をしてしまうと、顎の成長に伴い歯茎のラインが変化し、将来的に作り直しが必要になる可能性があるためです。
ただし、学校生活などでお子様が見た目を気にされている場合には、応急的な処置として、歯を削る量が少ないダイレクトボンディングで一時的に歯の大きさを整えることも可能です。まずはお子様のお口の状態を歯科医師に診てもらい、成長に合わせた最適な治療計画を相談することが重要です。
7.2 治療中に痛みはありますか
矮小歯の治療における痛みの有無や程度は、選択する治療法によって大きく異なります。多くの治療では必要に応じて麻酔を使用するため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。
7.2.1 治療法別の痛みの目安
ダイレクトボンディング
歯を削らない、あるいは削る量がごくわずかなため、痛みを感じることはほとんどなく、麻酔も不要な場合が多いです。
ラミネートベニア
歯の表面を薄く削る必要がありますが、処置の際には局所麻酔を使用するため、削る際の痛みはありません。治療後に一時的に知覚過敏(歯がしみる症状)が出ることが稀にあります。
セラミッククラウン
歯を全体的に削るため、必ず局所麻酔を行います。そのため、治療中に痛みを感じることはありません。治療後、歯茎の状態によっては一時的な痛みや違和感が出ることがありますが、次第に治まります。
歯列矯正
矯正装置を装着したり、調整したりした後の数日間は、歯が動くことによる圧迫感や鈍い痛みを感じることがあります。これは歯が正常に動いている証拠であり、通常は数日から1週間程度で慣れていきます。痛みが強い場合は、痛み止めで対応できます。
痛みに不安がある方は、事前のカウンセリングで遠慮なく歯科医師に伝えましょう。できる限り痛みに配慮した治療計画を提案してくれます。
7.3 矮小歯は何人に一人の割合ですか
矮小歯は決して珍しい歯の形態異常ではなく、その発生頻度は日本人で約1%~2%程度と言われています。 これは、およそ50人から100人に1人の割合で矮小歯を持つ人がいる計算になります。
特に矮小歯になりやすい部位は決まっており、上の顎の前から2番目の歯(上顎側切歯)に最も多く見られます。 次いで、親知らず(第三大臼歯)にも好発します。 これらの歯はもともと退化傾向にある歯と考えられています。
性別による差も報告されており、やや女性に多く発生する傾向があります。 ご自身の歯が小さいと感じていても、それは決して特別なことではないのです。
8. まとめ
今回は、歯が小さい「矮小歯」の原因や治療法を解説しました。矮小歯は遺伝などが原因で、見た目のコンプレックスやすきっ歯、虫歯のリスクを高める可能性があります。治療法にはダイレクトボンディングやセラミック治療、歯列矯正など複数の選択肢があるため、ご自身の希望や歯の状態に合った最適な方法を選ぶことが重要です。歯が小さいことにお悩みの方は、まず信頼できる歯科医院に相談しましょう。
札幌で矯正歯科を検討中の方は、ぜひ医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科でご相談ください。矯正治療のご相談をご希望の方は、下記のボタンよりお気軽にご予約ください。
この記事の監修者

尾立 卓弥(おだち たくや)
医療法人札幌矯正歯科 理事長
宮の沢エミル矯正歯科 院長
北海道札幌市の矯正専門クリニック「宮の沢エミル矯正歯科」院長。
日本矯正歯科学会 認定医。

