歯科技工士はやめた方がいいと言われる5つの理由と矯正歯科という選択肢

こんにちは。医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科の理事長の尾立卓弥です。札幌で矯正歯科を検討中の方は、ぜひ医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科でご相談ください。歯科技工士の仕事は、長時間労働や低賃金といった過酷な労働環境から「やめた方がいい」と言われることが少なくありません。しかし、せっかく身につけた技術を手放す前に知ってほしいのが、自費診療が中心となる「矯正歯科」という選択肢です。
この記事では、歯科技工士が離職を考える主な原因を整理した上で、矯正歯科分野がなぜ働きやすく、将来性があるのかを解説します。アライナー矯正などのデジタル技術や、院内ラボでの働き方を通じ、待遇改善とキャリアアップを実現するためのヒントが得られるでしょう。
1. 歯科技工士はやめた方がいいと言われる主な原因
国家資格でありながら、歯科技工士の離職率は非常に高く、ネット上でも「やめた方がいい」という声が後を絶ちません。多くの歯科技工士が仕事に誇りを持ちながらも、過酷な労働環境に耐えかねて現場を去っていくのが現実です。
なぜこれほどまでにネガティブな意見が多いのか、その背景にある業界特有の構造的な問題点を5つの観点から深掘りします。
1.1 長時間労働が常態化している労働環境
歯科技工士が辞める最大の理由として挙げられるのが、日付が変わるまで仕事をしても終わらないほどの長時間労働です。これには歯科医療業界特有の構造が関係しています。
多くの歯科技工所(ラボ)は、歯科医院からの受注生産で成り立っています。しかし、歯科医師からの発注が遅い場合や、「患者さんの予約が入っているから」という理由で無理な短納期を強いられるケースが少なくありません。そのしわ寄せは全て歯科技工士に行き着き、結果として深夜残業や休日出勤が常態化してしまいます。
特に小規模なラボでは、少人数で膨大な量の補綴物を製作しなければならず、休憩時間を削って作業に没頭することも珍しくありません。このような環境では、ワークライフバランスを保つことは極めて困難です。
1.2 給料が低く労働時間に見合わない待遇
長時間労働に加え、給与水準の低さも深刻な問題です。高度な専門技術と集中力が求められる仕事であるにもかかわらず、最低賃金に近い給与やサービス残業が横行している現状があります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査などのデータを見ても、他の医療系国家資格職(看護師や理学療法士など)と比較して、歯科技工士の年収は低い傾向にあります。独立開業して成功すれば高収入も望めますが、勤務技工士のうちは厳しい経済状況に置かれることが一般的です。
以下は、一般的な歯科技工所の労働条件に見られる傾向を整理したものです。
| 項目 | 一般的な現状と課題 |
|---|---|
| 基本給 | 専門職手当を含めても初任給が低く抑えられていることが多い。 |
| 残業代 | 「みなし残業」として固定給に含まれているか、そもそも支払われないケースも散見される。 |
| 昇給・ボーナス | 小規模経営が多いため、経営状況に左右されやすく、昇給幅が小さいかボーナスが出ないこともある。 |
1.3 粉塵や有機溶剤による健康面への懸念
歯科技工の作業環境は、決して健康的とは言えません。金属やレジン(プラスチック)を研磨する際に発生する微細な粉塵は、長期間吸い込み続けることで肺に悪影響を及ぼすリスクがあります。集塵機を使用していても、完全に防ぐことは難しいのが実情です。
また、義歯の製作などで使用する有機溶剤やモノマー(液体レジン)の強い臭いは、頭痛や吐き気の原因となることもあります。さらに、顕微鏡や手元を長時間凝視し続ける作業は深刻な眼精疲労を招き、座りっぱなしの姿勢は慢性的な腰痛を引き起こします。
このように、自身の健康を切り売りして働かなければならない環境に不安を感じ、将来を見据えて退職を決意する人が多くいます。
1.4 離職率が高く将来性に不安を感じる現状
歯科技工士学校を卒業しても、就職後5年以内に半数以上が離職すると言われています。この高い離職率は、業界全体に「若手が育たない」という悪循環をもたらしています。
現在、現役で働いている歯科技工士の高齢化が進んでおり、50代・60代が中心となっているラボも少なくありません。若手が入ってきても、過酷な環境ですぐに辞めてしまうため、技術継承がスムーズに行われていないのです。
「10年後、20年後もこの仕事を続けられるだろうか」と考えたとき、ロールモデルとなる先輩が周囲におらず、将来に希望を持てないことが、「やめた方がいい」という結論につながっています。
1.5 デジタル化による職人仕事の減少と変化
近年、歯科医療業界ではCAD/CAMシステムや3Dプリンターの導入が急速に進んでいます。これまでは職人の手仕事(ワックスアップや鋳造など)で行っていた工程が、パソコン上でのデザインと機械による加工に置き換わりつつあります。
これは生産性の向上という点ではメリットですが、「自分の手でモノを作る」という職人としてのやりがいを感じにくくなっているという側面もあります。特に、手先の技術を磨くことに情熱を注いできたベテラン技工士や、職人気質の若手にとっては、オペレーターのような業務内容に変化していくことに違和感を覚えるケースがあります。
デジタル化の波に乗れないラボは淘汰される可能性もあり、技術革新への対応というプレッシャーも、将来への不安要素の一つとなっています。
2. やめた方がいい現状を打破する矯正歯科という分野
歯科技工士が「やめた方がいい」と言われる背景には、長時間労働や低賃金といった構造的な問題があります。しかし、これらの問題の多くは保険診療を中心とした従来の歯科技工所に集中している傾向があります。一方で、自費診療が中心となる矯正歯科分野では、ビジネスモデルや働き方が大きく異なり、歯科技工士としてのキャリアを諦める前に検討すべき有望な選択肢となっています。
2.1 矯正歯科専門の歯科技工士とはどのような仕事か
一般的な歯科医院や技工所で製作するクラウンやブリッジなどの補綴物(ほてつぶつ)とは異なり、矯正歯科専門の歯科技工士は、歯を動かすための装置製作が主な業務となります。具体的には、ワイヤーを曲げて作るリテーナー(保定装置)や拡大床、ブラケットを正確な位置に装着するためのトランスファー・トレー、そして近年需要が急増しているマウスピース型矯正装置(アライナー)などが挙げられます。
この仕事の特徴は、単に形を作るだけでなく、治療計画に基づいた歯の移動をシミュレーションしながら製作する点にあります。歯科医師と密に連携し、どのように歯を動かせば理想的な歯並びになるかを考えながら作業を行うため、専門性が高く、治療のパートナーとしてのやりがいを感じやすい職種です。
2.2 保険診療と自費診療における納期の違い
多くの歯科技工士が疲弊する原因の一つに、保険診療特有の「薄利多売」と「短納期」があります。しかし、矯正歯科は基本的に自費診療(自由診療)であるため、製作期間やコストに対する考え方が根本的に異なります。以下に、一般的な保険技工と矯正歯科(自費技工)の違いを整理しました。
| 比較項目 | 一般的な保険技工 | 矯正歯科(自費技工) |
|---|---|---|
| 主な製作物 | 銀歯、CAD/CAM冠、入れ歯など | 矯正装置、アライナー、リテーナーなど |
| 納期目安 | 中2日~中4日(非常にタイト) | 中1週間~2週間(余裕がある) |
| スケジュールの柔軟性 | 急患や突発的な依頼が多く予測困難 | 完全予約制のため計画的に作業可能 |
| 収益構造 | 数をこなして利益を出す(薄利多売) | 技術料が適正に反映されやすい |
このように、矯正歯科分野では患者さんの来院スケジュール(予約)に合わせて技工物を製作するため、突発的な残業が発生しにくい環境です。納期に追われるプレッシャーから解放され、一つひとつの技工物にじっくり向き合える点は大きなメリットと言えるでしょう。
2.3 矯正歯科なら歯科技工士の待遇が改善される理由
矯正歯科分野で働く歯科技工士の待遇が良い傾向にある最大の理由は、歯科医院全体の収益性が高い自費診療がメインであることです。保険診療のような公定価格の縛りがないため、医院は技術力や設備投資に見合った価格設定が可能です。その結果、質の高い技工物を提供できる技工士に対して、十分な給与や快適な労働環境を還元する余力が生まれます。
また、矯正歯科では「院内ラボ(歯科医院併設の技工室)」を設けているケースが多く見られます。院内ラボで働く場合、外部の技工所へ支払う外注費がかからない分、その利益を技工士の給与に反映させやすくなります。さらに、歯科医師や患者さんと直接コミュニケーションが取れるため、情報の行き違いによる「再製(作り直し)」のリスクが減り、無駄な残業時間の削減にもつながっています。
3. 矯正歯科分野で働く歯科技工士のメリット
長時間労働や低賃金といった課題により「歯科技工士はやめた方がいい」と感じている方にとって、矯正歯科分野への転身は、これまでの働き方を大きく変える可能性を秘めています。一般歯科の技工とは異なり、自費診療が中心となる矯正歯科では、納期や収益構造に余裕があるケースが多く、労働環境が整いやすい傾向にあります。
ここでは、矯正歯科分野特有の業務内容や環境が、歯科技工士にとってどのようなプラスの要素をもたらすのか、具体的なメリットを解説します。
3.1 アライナー矯正などデジタル技工の最先端に関われる
近年の矯正歯科分野における最大の特徴は、急速に進むデジタル化です。特にマウスピース型矯正装置(アライナー矯正)の普及に伴い、歯科技工士の業務内容は従来の手作業中心のスタイルから大きく変化しています。
矯正専門のラボやクリニックでは、口腔内スキャナー(IOS)で取得したデータを基に、専用のCADソフトを用いて歯の移動シミュレーションや装置の設計を行う業務が増えています。これにより、石膏の粉塵や有機溶剤の臭いに悩まされることなく、クリーンなオフィス環境でパソコンに向かって作業する時間が大幅に増えました。
また、3Dプリンターを用いた模型製作など、最先端の機器を操作するスキルは、今後の歯科業界において非常に需要が高いものです。従来のアナログ技工と、矯正歯科におけるデジタル技工の違いを整理すると以下のようになります。
| 比較項目 | 従来の一般技工(アナログ中心) | 矯正歯科のデジタル技工 |
|---|---|---|
| 主な作業環境 | 粉塵や薬品の臭いが伴う作業机 | PCモニターと専用ソフトに向かうデスク |
| 身体的負担 | 長時間前傾姿勢での手作業による眼精疲労・腰痛 | デスクワーク中心だが、粉塵吸入リスクは大幅減 |
| 求められるスキル | ワックスアップや鋳造などの職人技術 | CAD操作、デジタルセットアップ、3Dプリンタ管理 |
| 将来性 | 保険技工の点数依存で収益化が厳しい | デジタルスキルを持つ技術者として市場価値が高い |
このように、デジタル技工への移行は、健康面での不安を解消するだけでなく、ITスキルを駆使した新しい時代の歯科技工士としてのキャリアを築くきっかけとなります。
3.2 患者の喜ぶ顔を直接見られる院内ラボの可能性
一般的に歯科技工所(ラボ)に勤務していると、製作した補綴物が患者の口に入った瞬間を見ることはほとんどありません。しかし、矯正歯科専門のクリニックでは「院内ラボ」を併設しているケースが多く、歯科技工士も医療チームの一員として患者と接する機会があります。
矯正治療は、機能の回復だけでなく「歯並びを美しくする」という審美的な目的が強いため、治療が終了して装置が外れた時の患者の喜びは非常に大きなものです。院内ラボで勤務していれば、自分が製作した装置によって患者様の笑顔が生まれ、直接「ありがとう」という感謝の言葉を受け取ることができます。
また、歯科医師や歯科衛生士と密にコミュニケーションを取りながら、その場で装置の微調整や修理を行うこともあります。単に指示書通りに作るだけではなく、患者の反応を見ながら最適な技工物を提供するプロセスは、仕事へのモチベーションを大きく向上させる要因となります。
3.3 専門性が高くキャリアアップしやすい環境
矯正歯科の技工は、ワイヤーの屈曲(ベンディング)や拡大床の製作、デジタルセットアップなど、一般歯科のクラウン・ブリッジ製作とは異なる専門的な知識と技術が求められます。この専門性の高さは、歯科技工士としての希少価値に直結します。
特に自費診療がメインの矯正歯科では、保険診療のような薄利多売の構造になりにくいため、一つひとつの技工物にじっくりと時間をかけて質を追求することが可能です。クリニック側も高い技術力を求めているため、専門スキルを持つ歯科技工士に対しては、給与や待遇面で高く評価する傾向にあります。
さらに、矯正専門の技工所やクリニックで経験を積むことで、将来的にはデジタル矯正のスペシャリストとして独立したり、メーカーのインストラクターとして活躍したりするなど、多様なキャリアパスが描けるようになります。「やめたい」と悩む前に、この専門性の高いフィールドで自身の技術を活かす道を検討する価値は十分にあります。
4. 歯科技工士をやめる前に矯正歯科への転職を検討すべき人
歯科技工士としてのキャリアに見切りをつける前に、一度立ち止まって考えていただきたいのが「働く環境や分野を変える」という選択肢です。特に矯正歯科分野は、一般的な保険技工とは異なる特性を持っており、現在の悩みを解消できる可能性があります。ここでは、具体的にどのような人が矯正歯科への転職を検討すべきか、その適性や志向性について解説します。
4.1 手先の技術を活かしつつ労働環境を改善したい
「モノづくり自体は好きだが、今の過酷な労働環境には耐えられない」と感じている方は、矯正歯科分野への転向が有力な選択肢となります。矯正技工は、ワイヤーを曲げるベンディングや拡大床のレジンワークなど、依然として高度なアナログ技術が求められる領域です。これまでに培った手先の器用さや職人としての技術を無駄にすることなく、より人間らしい働き方へとシフトできる可能性があります。
4.1.1 自費診療メインによるスケジュールの安定性
一般の保険技工、特にクラウンやブリッジ、義歯などの製作現場では、歯科医院からの「明日までに」「急ぎで」といった短納期の依頼に追われ、深夜残業が常態化しやすい傾向にあります。一方で、矯正歯科治療は基本的に自費診療であり、治療計画に基づいて長期的なスパンで進められます。そのため、技工物の納期にも余裕が持たせやすく、計画的な業務遂行が可能になるという大きなメリットがあります。
4.1.2 労働環境の比較:一般保険技工と矯正専門技工
以下の表は、一般的な保険技工所と矯正専門の技工所(または院内ラボ)における労働環境の傾向を比較したものです。
| 比較項目 | 一般保険技工所 | 矯正専門・院内ラボ |
|---|---|---|
| 主な診療区分 | 保険診療(薄利多売になりやすい) | 自費診療(付加価値が高い) |
| 納期の厳しさ | 非常に厳しい(突発的な依頼が多い) | 比較的緩やか(治療計画に基づく) |
| 求められる技術 | 鋳造、研磨、形態修正など | ワイヤー屈曲、CADデザイン、調整 |
| 精神的なプレッシャー | 時間に追われるストレスが大きい | 精度や審美性が求められるが時間は確保しやすい |
4.2 デジタル機器を活用した新しい技工に興味がある
近年の歯科矯正分野におけるデジタル化の波は目覚ましく、従来のアナログ作業に限界や健康不安を感じている人にとって、新たなキャリアの道が開かれています。もしあなたがPC作業に抵抗がなく、新しい技術を学ぶことに意欲的であれば、矯正歯科分野は非常に魅力的な環境と言えるでしょう。
4.2.1 粉塵や騒音から解放されたクリーンな環境
従来の歯科技工といえば、金属の研磨による粉塵や、鋳造時の熱、有機溶剤の臭いなど、健康被害のリスクと隣り合わせの環境が一般的でした。しかし、マウスピース型矯正装置(アライナー矯正)などを扱うデジタル技工の現場では、主な業務がパソコン上での設計(セットアップ)や3Dプリンターの操作となります。これにより、身体への負担が少ないクリーンなオフィス環境で働くことが可能になります。
4.2.2 CAD/CAMや3Dプリンターを駆使する次世代の技工士
矯正分野では、口腔内スキャナー(IOS)で取得したデータを基に、歯の移動シミュレーションを行ったり、3Dプリンターで模型を出力したりする業務が増えています。これには従来の彫刻刀やスパチュラを使う技術とは異なる、デジタルツールを使いこなすスキルが求められます。「職人仕事は続けたいが、アナログ一辺倒のやり方には将来性を感じない」という方は、デジタルスキルを習得することで、市場価値の高い歯科技工士としてキャリアアップを目指すべきです。
5. まとめ
歯科技工士は長時間労働や低賃金といった過酷な労働環境から、「やめた方がいい」と言われることが多いのが現状です。しかし、歯科技工士そのものを辞める前に、自費診療が中心である「矯正歯科」という選択肢を検討してみてください。
矯正分野では納期に比較的ゆとりがあり、アライナー矯正などのデジタル技工によって待遇や将来性が改善される傾向にあります。せっかく磨いた専門技術を活かしつつ、ワークライフバランスの整った環境でキャリアを築くために、矯正歯科への転向は大きなチャンスとなるはずです。
札幌で矯正歯科を検討中の方は、ぜひ医療法人 札幌矯正歯科 宮の沢エミル矯正歯科でご相談ください。矯正治療のご相談をご希望の方は、下記のボタンよりお気軽にご予約ください。
この記事の監修者

尾立 卓弥(おだち たくや)
医療法人札幌矯正歯科 理事長
宮の沢エミル矯正歯科 院長
北海道札幌市の矯正専門クリニック「宮の沢エミル矯正歯科」院長。
日本矯正歯科学会 認定医。

