歯が大きい原因は?コンプレックスは矯正で治せる?歯科医師が解説
「自分の歯が大きいかも」と悩んでいませんか?その原因は、歯自体の大きさだけでなく、小さな顎とのアンバランスかもしれません。この記事では、歯が大きい原因と、それによって起こる歯並びの問題を解説します。歯の大きさがコンプレックスになっている方へ、矯正治療で見た目を改善する具体的な方法(IPRや抜歯など)、費用や期間の目安まで歯科医師が分かりやすくお伝えします。
1. あなたの歯は本当に大きい?歯が大きく見える原因とセルフチェック
「自分の歯は人より大きい気がする」「笑うと前歯が目立ってコンプレックス…」と感じていませんか?歯の大きさに関する悩みは、見た目の印象に大きく影響するため、気にされている方が少なくありません。しかし、ご自身が感じている「歯の大きさ」は、本当に客観的に見ても大きいのでしょうか。
実は、歯が大きく見える原因は一つではありません。歯そのものが平均より大きい場合もあれば、お口の骨格とのバランスによって相対的に大きく見えているだけのケースもあります。まずはご自身の歯がどのタイプに当てはまるのかを知ることが、コンプレックス解消への第一歩です。
この章では、歯が大きく見える主な原因を解説し、ご自宅でできる簡単なセルフチェック方法をご紹介します。
1.1 絶対的に歯のサイズが大きい「巨大歯」
まず考えられるのが、歯のサイズそのものが平均よりも大きい「巨大歯(きょだいし)」と呼ばれる状態です。これは歯の横幅や長さが、標準的な数値を明らかに上回っているケースを指します。特に、顔の中心にあって目立ちやすい上の前歯(中切歯)の大きさが気になる方が多いようです。
日本人における永久歯の平均的な歯冠(歯ぐきから出ている部分)の幅は、研究によっても多少の差はありますが、一般的に以下のようになっています。
歯の種類 | 男性の平均幅 | 女性の平均幅 |
---|---|---|
中切歯(中央の前歯) | 約8.6mm | 約8.5mm |
側切歯(2番目の前歯) | 約7.1mm | 約6.9mm |
犬歯(糸切り歯) | 約8.0mm | 約7.6mm |
※上記の数値はあくまで平均値であり、個人差があります。
1.1.1 巨大歯のセルフチェック方法
ご自身の前歯が平均と比べて大きいかどうか、簡単な方法でチェックしてみましょう。
- 清潔な手で、透明なプラスチック製の定規を用意します。
- 鏡を見ながら、上の前歯(最も大きい中央の2本)の真ん中あたりに定規を水平に当て、横幅を測ります。
このセルフチェックで、もし前歯の幅が9.0mmを超えているようであれば、絶対的に歯が大きい「巨大歯」の可能性が考えられます。ただし、これはあくまでご自身で確認する目安です。正確な大きさや、それが治療の対象となるかどうかは、歯科医院でレントゲン撮影などの精密検査を受けて判断する必要があります。
1.2 相対的に歯が大きく見える「小さな顎」
もう一つの原因は、歯のサイズ自体は標準的な範囲内であるものの、それを支える顎の骨が小さい、または歯が並ぶアーチ(歯列弓)が狭いために、相対的に歯が大きく見えてしまうケースです。
歯と顎の大きさのバランスが取れていないと、歯が並ぶためのスペースが不足します。その結果、歯が前に押し出されて出っ歯(上顎前突)に見えたり、重なり合ってガタガタの歯並び(叢生)になったりします。このように歯並びが乱れることで、一つひとつの歯の存在感が強調され、「歯が大きい」という印象を与えてしまうのです。
特に、最近は食生活の変化などから顎が小さい方が増える傾向にあり、小顔で顎がシャープな方ほど、標準的なサイズの歯でも大きく見えやすいと言えます。
1.2.1 相対的に大きく見える場合のセルフチェック方法
以下の項目に当てはまるものがないか、鏡でご自身の口元をチェックしてみましょう。
- 歯の大きさ自体は標準的なのに、歯並びがガタガタしている部分がある。
- 上の前歯が下の前歯に比べて、かなり前方に出ている(出っ歯)。
- 口を閉じると、唇が自然に閉じにくく、口元がこんもりと盛り上がって見える(口ゴボ)。
- 顔の大きさに対して、歯が全体的に大きく見える気がする。
これらの特徴に心当たりがある場合、歯そのものの大きさよりも、顎の大きさとのアンバランスによって歯が大きく見えている可能性が高いです。このケースでは、歯を削ったり抜いたりしなくても、矯正治療で歯を正しく並べ直すだけで、口元の印象が大きく改善されることが期待できます。
2. 歯が大きくなる・大きく見える3つの原因
「他の人より歯が大きい気がする…」と感じる場合、その原因は一つとは限りません。歯の大きさは、生まれ持った身体的特徴が関係していることがほとんどです。ここでは、歯が大きくなる、あるいは大きく見えてしまう主な3つの原因について、詳しく解説していきます。
2.1 原因1 遺伝による先天的なもの
歯の大きさや形は、顔つきや身長などと同じように、遺伝的要因に大きく左右されます。ご両親や祖父母、親戚に歯が大きい方がいる場合、その遺伝子情報を受け継ぎ、生まれつき歯が大きくなる可能性が高くなります。これは専門的に「巨大歯」と呼ばれることもあり、歯そのもののサイズが標準よりも大きい状態を指します。
特に、前歯(切歯)が大きく目立つケースが多く、遺伝が原因である場合はセルフケアで大きさを変えることはできません。もしご自身の歯の大きさが遺伝によるものか気になる場合は、ご家族の歯の大きさと比べてみるのも一つの判断材料になるでしょう。
2.2 原因2 顎の骨の大きさとのアンバランス
歯のサイズ自体は標準的でも、それを支える顎の骨が小さいことで、相対的に歯が大きく見えてしまうケースも非常に多く見られます。顎が小さいと、すべての歯がきれいに並ぶためのスペースが不足してしまいます。その結果、歯が前に押し出されて出っ歯(上顎前突)になったり、歯が重なり合ってガタガタの歯並び(叢生)になったりします。
歯が正しい位置に収まらずに前に傾いたりねじれたりすることで、一本一本の歯が実際以上に大きく、悪目立ちしてしまうのです。現代人は、食生活の変化により柔らかいものを食べる機会が増え、顎が十分に発達しにくい傾向があるともいわれています。この「歯の大きさと顎の大きさの不調和」が、歯並びの問題と見た目のコンプレックスの両方を引き起こす主要な原因となっています。
原因のタイプ | 歯の大きさ | 顎の大きさ | 主な特徴 |
---|---|---|---|
絶対的な原因(巨大歯など) | 大きい | 標準 or 小さい | 歯そのものが標準サイズよりも大きい。遺伝的要因が強い。 |
相対的な原因 | 標準 | 小さい | 歯を並べるスペースが不足し、出っ歯やガタガタになることで歯が大きく見える。 |
2.3 原因3 癒合歯など歯自体の異常
頻度は高くありませんが、歯そのものの形態異常によって、歯が大きく見えることがあります。代表的なものが「癒合歯(ゆうごうし)」です。
癒合歯とは、隣り合っている2本の歯が、形成される過程でくっついてしまい、1本の大きな歯のようになってしまう状態を指します。乳歯に見られることが多いですが、永久歯で起こるケースもあります。見た目には1本の大きな歯に見えるため、歯の大きさに悩む原因となります。
癒合歯は、見た目の問題だけでなく、くっついた部分の溝が不潔になりやすく虫歯のリスクを高めたり、永久歯への生え変わりに影響を及ぼしたりすることがあります。癒合歯やその他の歯の形態異常の有無は、ご自身で判断することは難しいため、歯科医院でレントゲン撮影などの精密な検査を受けて診断してもらう必要があります。
癒合歯についてより詳しく知りたい方は、公益社団法人 日本小児歯科学会のウェブサイトも参考にしてください。
3. 歯が大きいことによるコンプレックスと口腔内の問題点
歯が大きいというお悩みは、単に「見た目が気になる」という審美的な問題だけにとどまりません。実は、お口全体の健康や機能にも深く関わっており、放置することでさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。ここでは、歯が大きいことによって生じる代表的なコンプレックスと、口腔内の具体的な問題点について詳しく解説します。
3.1 笑顔に自信が持てないなど見た目のコンプレックス
歯の大きさ、特に前歯の大きさは、お顔の印象を大きく左右する要素の一つです。歯が大きいことで、具体的に次のようなコンプレックスを抱えてしまう方が少なくありません。
- 前歯が目立ちすぎて「ビーバー歯」などと揶揄された経験がある
- 口元の印象が強く見え、全体のバランスが気になる
- 笑った時に歯だけが悪目立ちしているように感じる
- コンプレックスから、人と話すときに無意識に口元を手で隠してしまう
- 写真を撮られるのが苦手で、思いっきり笑えない
このような見た目の悩みは、単なる「個性」として受け入れるのが難しく、コミュニケーションに対する消極性や自己肯定感の低下につながってしまう深刻な問題です。歯の大きさが原因で心からの笑顔になれないというお悩みは、決して珍しいことではありません。
3.2 出っ歯やガタガタの歯並び(叢生)を誘発する
歯が大きい場合、すべての歯が顎の骨のアーチの中にきれいに並ぶためのスペースが不足しがちです。限られたスペースに無理やり歯が並ぼうとするため、歯並びの乱れ(不正咬合)を引き起こす直接的な原因となります。
特に、歯の大きさが原因で起こりやすい代表的な不正咬合は次の2つです。
不正咬合の種類 | 特徴 | 歯の大きさとの関係 |
---|---|---|
叢生(そうせい) | 歯が重なり合って生えていたり、ねじれていたりする、いわゆる「ガタガタ」「八重歯」「乱ぐい歯」と呼ばれる状態。 | 歯が生えるスペースが足りないため、歯が本来の位置からずれて重なり合ってしまいます。歯1本1本が大きいほど、この傾向は顕著になります。 |
上顎前突(じょうがくぜんとつ) | 上の前歯が前方に大きく傾斜していたり、上顎全体が前に出ていたりする、いわゆる「出っ歯」と呼ばれる状態。 | 横に並びきらない歯が前方に押し出されることで起こります。特に前歯が大きいと、出っ歯の印象がより強調されやすくなります。 |
これらの歯並びは見た目の問題だけでなく、食べ物を正しく噛めない(咀嚼機能の低下)、特定の言葉が発音しにくい(発音障害)、顎関節に負担がかかる(顎関節症)など、さまざまな機能的な問題につながる可能性も指摘されています。
3.3 清掃性が悪く虫歯や歯周病のリスクが高まる
歯が大きいことによって引き起こされた叢生(ガタガタの歯並び)は、お口の衛生環境を悪化させる大きな要因です。歯が重なり合っている部分は非常に複雑な形をしており、歯ブラシの毛先が届きにくくなります。
その結果、磨き残した歯垢(プラーク)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが格段に高まってしまうのです。
- 虫歯のリスク: 歯と歯が重なった部分は汚れが停滞しやすく、細菌が酸を作り出すことで歯が溶かされ、虫歯になりやすくなります。特に歯と歯の間の虫歯は発見が遅れがちです。
- 歯周病のリスク: 歯垢が石灰化して硬い歯石になると、歯周病菌の温床となります。歯茎に炎症が起きる歯肉炎から始まり、進行すると歯を支える骨を溶かす歯周炎へと悪化します。歯周病は口臭の主な原因にもなります。
厚生労働省が運営する情報サイト「e-ヘルスネット」でも、叢生のような不正咬合は清掃がしにくく、う蝕(虫歯)や歯周病のリスクを高めることが示されています。(参考: e-ヘルスネット「不正咬合の種類と実態」)
つまり、歯が大きいという問題は、見た目のコンプレックスだけでなく、清掃不良から虫歯や歯周病を招き、将来的には大切な歯を失う原因にもなりかねないのです。お口の健康を長期的に守るためにも、適切な対処を検討することが重要です。
4. 歯が大きい悩みは矯正治療で治せる?主な治療法を解説
「歯が大きい」というお悩みは、見た目のコンプレックスだけでなく、歯並びの乱れや虫歯・歯周病のリスクといった機能的な問題を引き起こすことがあります。しかし、ご安心ください。歯の大きさ自体を変えることはできなくても、矯正治療によって歯並びを整え、見た目の印象を大きく改善することは可能です。歯が大きい方の矯正治療では、すべての歯をきれいに並べるための「スペース」をいかにして確保するかが重要な鍵となります。ここでは、そのための具体的な方法と、代表的な矯正装置について詳しく解説します。
4.1 矯正治療で歯を並べるスペースを作る方法
歯が大きい場合、顎のスペースに対して歯が収まりきらず、ガタガタになったり前に飛び出したりします。矯正治療では、まずこれらの歯を適切に配置するためのスペースを作り出すことから始めます。主な方法は以下の3つです。
4.1.1 IPR(歯間削合)で歯の横幅を調整する
IPR(Interproximal Reduction)とは、歯と歯の間の側面(隣接面)のエナメル質を、健康に影響のない範囲でわずかに削り、歯の横幅を小さくする方法です。日本語では「歯間削合(しかんさくごう)」や「ディスキング」とも呼ばれます。
1本の歯につき削る量は最大で約0.5mm(両側で)とごくわずかですが、複数の歯に行うことで、歯を並べるためのスペースを効果的に生み出すことができます。痛みはほとんどなく、麻酔も通常は必要ありません。
この方法は、抜歯をするほどではない軽度から中程度の歯のガタつきや、前歯の突出を改善したい場合に適しています。
4.1.2 抜歯をしてスペースを確保する
歯の大きさが著しく、顎のスペースが大幅に不足している場合には、抜歯によって歯を並べるためのスペースを確保する方法が選択されます。歯を抜くことに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、全体の噛み合わせや長期的な安定性を考慮した上で、最良の結果を得るために必要な処置となる場合があります。
抜歯の対象となるのは、一般的に機能的な重要度が比較的低い「小臼歯(前から4番目または5番目の歯)」です。小臼歯を抜歯することで約7〜8mmの大きなスペースが生まれ、そのスペースを利用して前歯を大きく後ろに下げたり、ガタガタの歯並びをきれいに並べ直したりすることが可能になります。
4.1.3 歯列を側方や後方に拡大する
歯を抜いたり削ったりするのではなく、歯が並んでいるアーチ(歯列)そのものを広げてスペースを作る方法です。これには大きく分けて2つのアプローチがあります。
- 側方拡大:歯列の横幅を広げる方法です。専用の装置を使って、歯列を外側に押し広げます。特に骨がまだ柔らかい成長期のお子様には効果的ですが、成人でも適用可能な場合があります。
- 後方拡大:歯列全体を奥歯の方向(後方)へ移動させる方法です。親知らずを抜歯してできたスペースなどを利用して、奥歯から順に後ろへ動かしていきます。
これらの方法は、非抜歯で治療を進められる可能性があるという大きなメリットがあります。どの方法が最適かは、顎の骨格や歯の状態によって異なるため、精密検査に基づいた歯科医師の診断が不可欠です。
4.2 歯の大きさに対応できる代表的な矯正装置
スペースを確保する方法が決まったら、実際に歯を動かすための装置を選択します。歯が大きい方の治療にも、一般的な矯正装置が用いられます。
4.2.1 ワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)
ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して力をかけることで歯を動かす、最も歴史と実績のある治療法です。
- 表側矯正:歯の表側(唇側)に装置を取り付ける一般的な方法です。金属の装置が目立つというデメリットはありますが、幅広い症例に対応でき、特に抜歯を伴うような複雑な歯の移動も確実に行えるという大きなメリットがあります。近年では、白や透明の目立ちにくい装置も選択できます。
- 裏側矯正(リンガル矯正):歯の裏側(舌側)に装置を取り付けるため、外からはほとんど見えないのが特徴です。見た目を気にされる方に人気ですが、高度な技術が必要なため、費用が高くなる傾向があり、対応できる歯科医院も限られます。
4.2.2 マウスピース矯正(インビザラインなど)
透明なマウスピース型の装置を、治療計画に沿って定期的に交換していくことで歯を動かす比較的新しい治療法です。代表的なものに「インビザライン」があります。
目立たない、取り外して食事や歯磨きができるといったメリットから非常に人気がありますが、かつては対応できる症例が限られていました。しかし、近年の技術革新により、IPRや抜歯を伴う歯が大きい方の治療にも対応できるケースが大幅に増えています。
ただし、1日20時間以上の装着が必要など、患者様ご自身の協力が不可欠な治療法です。適用可能かどうかは、歯科医師による詳細な診断が必要です。
4.3 歯の大きさに関する矯正治療の費用と期間の目安
歯が大きい方の矯正治療にかかる費用と期間は、歯並びの状態や選択する治療法、装置によって大きく異なります。以下に一般的な目安を示しますが、あくまで参考としてお考えください。正確な費用・期間は、歯科医院でのカウンセリングや精密検査の際に必ず確認しましょう。
治療法 | 主な内容 | 費用の目安 | 期間の目安 |
---|---|---|---|
部分矯正(IPRなど) | 前歯など気になる部分のみを治療。IPRでスペースを確保することが多い。 | 30万円~70万円 | 半年~1年半程度 |
全体矯正(非抜歯) | IPRや歯列拡大でスペースを確保し、全体の噛み合わせを整える。 | 70万円~120万円 | 1年半~2年半程度 |
全体矯正(抜歯あり) | 小臼歯などを抜歯して大きなスペースを確保し、全体の噛み合わせを整える。 | 80万円~150万円 | 2年~3年程度 |
※上記の費用は装置料や調整料などを含んだ総額の目安です。
※裏側矯正やマウスピース矯正(インビザライン)は、表側矯正に比べて費用が高くなる傾向があります。
※矯正治療は基本的に自由診療となり、公的医療保険は適用されません。ただし、特定の条件を満たす場合は医療費控除の対象となることがあります。
矯正治療に関する詳しい情報は、公益社団法人 日本矯正歯科学会のウェブサイトもご参照ください。
5. 矯正以外の選択肢 セラミック治療で歯の大きさを治す方法
歯の大きさに関する悩みは、歯を動かして歯並びを整える矯正治療が第一選択となることが多いですが、すべての方が矯正治療に適しているわけではありません。「治療期間を短くしたい」「特定の歯だけを治したい」といったご希望がある場合、セラミック治療も有効な選択肢の一つとなります。ここでは、歯を削って被せ物をするセラミック治療について、その詳細とメリット・デメリットを解説します。
5.1 歯を削って形と大きさを整えるセラミッククラウン
セラミック治療の中でも、歯の大きさを全体的に変える際に用いられる代表的な方法が「セラミッククラウン」です。セラミッククラウンとは、対象となる歯を全体的に削り、その上からセラミック(陶材)で作製したオーダーメイドの被せ物(クラウン)を装着する治療法です。
歯を削ることで物理的にサイズを小さくし、その上から理想的な大きさ・形・色のクラウンを被せるため、見た目を劇的に改善できます。特に、前歯1〜2本だけが突出して大きい「巨大歯」のようなケースや、歯の色や形も同時に改善したい場合に効果的です。治療は、歯を削って型取りを行い、作製したクラウンを装着するという流れで進むため、比較的短期間で完了します。
5.2 セラミック治療のメリットと知っておくべきデメリット
セラミック治療は、短期間で美しい見た目を手に入れられる魅力的な方法ですが、メリットだけでなく、慎重に検討すべきデメリットも存在します。特に、一度削った健康な歯は二度と元には戻らないという点は、治療を受ける前に必ず理解しておく必要があります。矯正治療との違いも踏まえ、メリットとデメリットを正しく把握しましょう。
項目 | 詳細な内容 |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
セラミック治療を検討する際は、これらのメリット・デメリットを十分に理解した上で、歯科医師とよく相談することが重要です。ご自身の歯の状態やライフプラン、何を最優先にしたいのかを明確にし、後悔のない選択をしましょう。日本歯科審美学会のウェブサイトでは、審美歯科治療に関する情報が公開されていますので、参考にしてみるのも良いでしょう。
一般社団法人 日本歯科審美学会 – 歯を白くする・歯の形を整える
6. 歯が大きい悩みを相談する矯正歯科の選び方
歯が大きいという悩みは、見た目のコンプレックスだけでなく、歯並びや口腔内の健康にも影響を及ぼすデリケートな問題です。そのため、治療を任せる歯科医院選びは非常に重要になります。ここでは、歯の大きさに関する悩みを安心して相談でき、適切な治療を受けられる矯正歯科を選ぶための3つの重要なポイントと、当院での取り組みについて解説します。
6.1 日本矯正歯科学会の認定医・専門医が在籍しているか
矯正治療は、歯科の中でも特に高度な専門知識と豊富な経験が求められる分野です。特に、歯の大きさや顎とのバランスが問題となるケースでは、精密な診断と治療計画が不可欠です。そこで、歯科医院を選ぶ最初の基準として、日本矯正歯科学会が認める「認定医」や「専門医」が在籍しているかを確認しましょう。
これらの資格は、一定期間、大学病院などの矯正歯科専門機関で研修を受け、厳しい審査に合格した歯科医師にのみ与えられます。つまり、矯正治療に関する確かな知識と技術を持っていることの客観的な証明となります。
資格の種類 | 概要 | ポイント |
---|---|---|
認定医 | 5年以上の矯正歯科臨床研修を修了し、学会の審査に合格した歯科医師。矯正治療に関する標準的な知識と技術を持つことを示します。 | 矯正治療を行う上で基本となる資格です。多くの専門的な矯正歯科医院に在籍しています。 |
指導医 | 認定医を育成・指導する立場にある歯科医師。12年以上の矯正歯科臨床経験と教育・研究実績が求められます。 | より豊富な経験と高い見識を持ち、難症例にも対応できる可能性が高いです。 |
専門医 | 認定医の中でも、さらに厳しい基準の審査に合格した歯科医師に与えられる最高位の資格。優れた臨床技能と学術的実績が求められます。 | 資格の取得・更新が非常に厳格で、極めて高いレベルの専門性を持っていることの証です。 |
これらの資格を持つ歯科医師は、学会のウェブサイトで検索することができます。歯が大きいといった複雑な要因が絡むお悩みだからこそ、信頼できる資格を持つ専門家を選ぶことが、満足のいく治療結果への第一歩です。
参考:公益社団法人 日本矯正歯科学会 認定医・専門医名簿一覧
6.2 カウンセリングで悩みや希望をしっかり聞いてくれるか
治療を始める前に、必ずカウンセリングを受けましょう。カウンセリングは、患者様の悩みや理想を医師と共有し、信頼関係を築くための非常に重要な時間です。この場で、ご自身の不安や疑問を遠慮なく話せるか、医師が親身になって耳を傾けてくれるかを見極めましょう。
良いカウンセリングのチェックポイントは以下の通りです。
- 歯の大きさや見た目に関するコンプレックスを丁寧にヒアリングしてくれるか
- 治療のメリットだけでなく、考えられるデメリットやリスク(IPRで削る量、抜歯の必要性、後戻りの可能性など)についても正直に説明してくれるか
- 一つの治療法を押し付けるのではなく、IPR、抜歯、歯列拡大など複数の選択肢を提示し、それぞれの違いを分かりやすく説明してくれるか
- 費用や治療期間の目安について、明確な説明があるか
- 患者からの質問に、専門用語を多用せず、納得できるまで丁寧に答えてくれるか
特に「歯が大きい」という悩みに対して、どのようなアプローチで理想の口元に近づけるのか、治療後のシミュレーションなども見せながら具体的に説明してくれる歯科医院は信頼できるでしょう。カウンセリングを通じて「この先生なら任せられる」と心から思えるかどうかを大切にしてください。
6.3 精密検査のための設備(セファロなど)が整っているか
適切な治療計画を立てるためには、口腔内の状態を正確に把握するための精密検査が欠かせません。歯の大きさだけでなく、顎の骨の大きさや形、歯と骨格のバランスなどを詳細に分析する必要があります。そのため、矯正治療に特化した検査設備が整っているかも、歯科医院選びの重要な指標となります。
最低限、以下の設備が整っているかを確認しましょう。
- セファロ(頭部X線規格写真)
顔の骨格と歯の位置関係を正確に把握するためのレントゲンです。矯正治療の診断には必須の設備で、歯が大きく見える原因が歯自体にあるのか、顎の骨格にあるのかを分析するために不可欠です。 - 歯科用CT
三次元的(3D)に顎の骨や歯の状態を撮影できる装置です。歯の根の位置や向き、顎の骨の厚みなどを立体的に把握できるため、抜歯やIPR、インプラントアンカー(矯正用の小さなネジ)を用いる際に、より安全で確実な治療計画を立てるのに役立ちます。 - 口腔内スキャナー
粘土のような材料で歯型をとる代わりに、小型のカメラで口腔内をスキャンし、歯並びを3Dデジタルデータとして取得する装置です。不快感が少なく、精密な歯型が採れるため、マウスピース矯正(インビザラインなど)の精度向上や、治療シミュレーションの作成に活用されます。
これらの先進的な設備を導入している歯科医院は、それだけ診断の精度と治療の質を重視している証拠と言えるでしょう。
6.4 医療法人 札幌矯正歯科ではカウンセリングを行っています
もしあなたが「歯の大きさ」に悩み、札幌市やその近郊で矯正歯科をお探しなら、ぜひ一度、医療法人 札幌矯正歯科のカウンセリングにお越しください。
当院では、日本矯正歯科学会の認定医が、患者様一人ひとりのお悩みに真摯に向き合います。歯が大きいと感じる原因はどこにあるのか、どのような治療法が最適なのかを、これまでの豊富な経験と知識に基づいてご提案します。
また、正確な診断のためにセファロや歯科用CTといった最新の検査設備を完備しており、科学的根拠に基づいた安全で質の高い治療計画を立案します。カウンセリングでは、あなたの理想の笑顔やご希望をじっくりとお伺いし、治療の選択肢、メリット・デメリット、費用について、ご納得いただけるまで丁寧に説明することをお約束します。
「自分の歯は矯正で治せる?」「費用はどれくらいかかる?」といった些細な疑問でも構いません。まずは無料カウンセリングで、あなたの悩みをお聞かせください。私たちが、あなたの笑顔への第一歩をサポートします。
7. まとめ
「歯が大きい」という悩みは、遺伝による巨大歯や顎の小ささなど、様々な原因が考えられます。見た目のコンプレックスだけでなく、出っ歯やガタガタの歯並びを誘発し、虫歯や歯周病のリスクを高める原因にもなります。しかし、この悩みはIPR(歯間削合)や抜歯を伴う矯正治療、セラミック治療などで改善が可能です。ご自身の歯の状態や希望に合った最適な治療法を見つけるためにも、まずは信頼できる矯正歯科でカウンセリングを受け、専門医に相談してみましょう。
矯正治療のご相談をご希望の方は、下記のボタンよりお気軽にご予約ください。
この記事の監修者
尾立 卓弥(おだち たくや)
医療法人札幌矯正歯科 理事長
宮の沢エミル矯正歯科 院長
北海道札幌市の矯正専門クリニック「宮の沢エミル矯正歯科」院長。
日本矯正歯科学会 認定医。