ブログ

  • HOME > 
  • ブログ > 
  • 横顔ブサイクの原因は口元?矯正歯科医が教…
2025.06.30

横顔ブサイクの原因は口元?矯正歯科医が教える口ゴボの治し方とセルフケア

横顔ブサイクの原因は口元?矯正歯科医が教える口ゴボの治し方とセルフケア

kuchigobo-eline

「自分の横顔がブサイクかも…」と感じる原因は、口元が前に出た「口ゴボ」かもしれません。この記事を読めば、口ゴボになる骨格や癖などの原因から、自分でできる改善トレーニング、歯科医院で行う本格的な矯正治療まで、具体的な治し方がわかります。セルフケアには限界があり、根本的な改善には歯列矯正が最も有効な選択肢です。あなたの悩みを解消する最適な方法を見つけましょう。

目次

1. あなたの横顔は大丈夫?口元が原因でブサイクに見える「口ゴボ」とは

ふと鏡や窓に映った自分の横顔を見て、「なんだかブサイクかも…」と落ち込んだ経験はありませんか?特に、正面から見たときと横顔の印象が大きく違うことに悩んでいる方は少なくありません。そのお悩みの原因、もしかしたら「口ゴボ」かもしれません。

口ゴボとは、口元がもっこりと前に突き出て見える状態を指す俗称です。医学的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」や「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」などが該当します。口ゴボだと、鼻の下から唇にかけての部分が突出し、不機嫌そうに見えたり、垢抜けない印象を与えたりすることがあります。また、顎が後退しているように見え、首との境界線が曖昧になることも横顔の美しさを損なう一因です。

この記事では、まずご自身の横顔の状態を客観的に把握するためのセルフチェック方法と、口元以外に横顔の印象を左右する要因について詳しく解説します。

1.1 Eラインで簡単セルフチェック!理想の横顔との違いを知ろう

自分の横顔が美しいかどうかを判断する基準として、美容医療や矯正歯科の世界で広く用いられているのが「Eライン(エステティックライン)」です。これは、鼻の先端と顎の先端を直線で結んだラインのことで、横顔のバランスを評価するための指標となります。

理想的なEラインでは、唇がこのラインに触れるか、やや内側に収まっている状態とされています。ご自身のEラインを簡単にチェックしてみましょう。

【Eラインのセルフチェック方法】

  1. 人差し指や定規など、まっすぐなものを用意します。
  2. 用意したものを、ご自身の鼻の先端と顎の先端にそっと当てます。
  3. その際、唇が指や定規にどの程度触れるかを確認します。

【チェック結果の目安】

  • 唇が指(定規)に強く押し付けられる・はみ出す:口ゴボの可能性があります。口元がEラインよりも前に出ている状態です。
  • 上唇と下唇が軽く指(定規)に触れる:日本人の標準的なバランスに近い状態です。
  • 唇が指(定規)に全く触れない:理想的なバランス、もしくは顎が前に出ている(受け口)可能性も考えられます。

ただし、これはあくまで一つの目安です。日本人は欧米人と比較して鼻がやや低く、顎が小さい骨格的特徴があるため、少し唇がラインに触れる程度であれば気にする必要はありません。大切なのは、ご自身が客観的な基準と比べてどうなのかを把握すること

1.2 横顔の印象は口元だけじゃない!その他の原因

横顔が「ブサイク」に見えてしまう原因は、口ゴボだけとは限りません。複数の要因が複雑に絡み合っているケースも多くあります。口元以外に考えられる主な原因を下の表にまとめました。

原因のタイプ 具体的な状態 横顔の印象
口元の突出(口ゴボ) 出っ歯(上顎前突)や、上下の顎全体が前に出ている(上下顎前突)状態。 口元がこんもりと盛り上がり、鳥のような口元(バードフェイス)に見えることがある。鼻が低く見えやすい。
顎の小ささ・後退 下顎が小さい、または後ろに引っ込んでいる(下顎後退)状態。 顎と首の境界線が曖昧になり、二重顎に見えやすい。相対的に口元が出ているように見える。
鼻の低さ 鼻筋が通っておらず、鼻全体が低い状態。 顔全体が平面的(のっぺりとした印象)に見える。Eラインの基準となる鼻先が低いため、口元が突出して見えやすい。
受け口(下顎前突) 下の歯が上の歯より前に出ている状態。しゃくれているとも言われる。 下顎が突き出て、三日月のような横顔のラインになる。不機嫌そうな印象や、威圧的な印象を与えることがある。

このように、横顔の美しさは、鼻・口元・顎の3つのパーツのバランスによって決まります。ご自身の横顔がどのタイプに当てはまるか、あるいは複合的な原因があるのかを見極めることが、効果的な改善への第一歩となります。

2. なぜ口元が出てしまうのか?横顔がブサイクになる口ゴボの主な原因

「自分は横顔がブサイクかも…」と感じる方の多くが、口元の突出、いわゆる「口ゴボ」に悩んでいます。すっきりとした横顔の印象を損なう口ゴボは、なぜ起きてしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、生まれつきの骨格や歯並びによる「先天的な原因」と、日常の無意識な癖が積み重なった「後天的な原因」に大きく分けられます。

ご自身の口ゴボがどちらのタイプに近いのかを知ることは、適切な改善方法を見つけるための第一歩です。ここでは、それぞれの原因について詳しく解説していきます。

2.1 先天的な原因は骨格や歯並び

まず、遺伝的な要因が強く関わる先天的な原因についてです。ご両親や親族に似たような口元の方がいる場合、このタイプに当てはまる可能性が高いかもしれません。これらはセルフケアでの改善が難しく、多くの場合、歯科医院での専門的な治療が必要となります。

2.1.1 歯が原因の出っ歯(上顎前突)

上の前歯が前方へ強く傾いて生えている、いわゆる「出っ歯」の状態です。専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」の一種に分類されます。歯だけが前に出ているため、唇が閉じにくく、無理に閉じようとすると下顎の先にシワ(梅干しジワ)が寄りやすいのが特徴です。

原因としては、顎の大きさと歯の大きさのアンバランス(顎が小さいのに歯が大きいなど)により、歯が並ぶスペースが足りず、前方に押し出されてしまうケースが挙げられます。

2.1.2 骨格が原因の上下顎前突

歯並び自体は悪くないように見えても、歯を支えている上顎と下顎の骨そのものが、顔の他の部分に比べて前方に位置している状態です。これを「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」と呼びます。歯と骨が一体となって前に出ているため、口元全体がこんもりと盛り上がった印象になります。

特にアジア人(日本人を含む)に多く見られる骨格的な特徴であり、口を閉じても唇が突出して見えやすい傾向があります。

2.1.3 顎が小さい・後退している

上顎の位置は標準的でも、下顎が小さい、または後ろに下がっている「下顎後退(かがくこうたい)」の状態も、口ゴボの原因となります。下顎が後退していることで、相対的に上顎や口元が前に出ているように見えてしまうのです。

この場合、Eライン(鼻先と顎先を結んだ線)から唇が大きくはみ出しやすく、横顔のバランスが崩れて見えがちです。首と顎の境界が不明瞭に見えることもあります。

2.2 後天的な原因は日常の無意識な癖

子どもの頃からの何気ない癖や習慣が、顎の正常な成長を妨げたり、歯並びを乱したりして、後天的に口ゴボを引き起こすことがあります。これらの癖は「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と呼ばれ、大人になってからも影響が残ることが少なくありません。幸いなことに、これらの癖に気づき、改善することで口ゴボの悪化を防いだり、軽度であれば改善が期待できたりします。

癖の種類(口腔習癖) 口元や歯並びへの主な影響
口呼吸 口周りの筋肉が緩み、歯が前方に倒れやすくなる。口元の突出(口ゴボ)や開咬(かいこう)を誘発。
舌突出癖(ぜつとっしゅつへき) 飲み込む際に舌で前歯を押し、出っ歯や、前歯が噛み合わない開咬の原因となる。
指しゃぶり・爪噛みなど 指や爪で前歯を押し出す形になり、出っ歯や開咬を引き起こす。

2.2.1 口呼吸が招く口元の突出

私たちは本来、鼻で呼吸(鼻呼吸)するのが正常です。しかし、アレルギー性鼻炎や扁桃腺の肥大などが原因で鼻が詰まりやすかったり、単に癖になっていたりして、無意識に口で呼吸(口呼吸)している方がいます。

口呼吸が習慣になると、常に口がポカンと開いた状態になります。すると、唇や頬の筋肉(口輪筋など)が緩み、内側から舌、外側から唇で歯を支える力のバランスが崩れます。その結果、歯を外側から抑える力が弱まり、舌に押された前歯が徐々に前方へ傾き、口ゴボにつながってしまうのです。

2.2.2 舌の正しい位置と飲み込みの癖(舌突出癖)

リラックスしている時、あなたの舌はどこにありますか?正しい舌の位置は、舌先が上の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれる膨らみに軽く触れており、舌全体が上顎に吸い付いている状態です。しかし、舌の位置が低く、下の歯の裏側あたりに落ち込んでいる「低位舌(ていいぜつ)」の方も少なくありません。

さらに、食べ物や唾液を飲み込む(嚥下する)際に、舌で前歯をグッと押してしまう癖を「舌突出癖」と呼びます。私たちは1日に1,500〜2,000回も嚥下を行うと言われており、そのたびに前歯に不要な力がかかり続けることで、出っ歯や口ゴボが進行する原因となります。

2.2.3 幼少期の指しゃぶりなどの影響

指しゃぶりや爪噛み、唇を吸う・噛むといった癖も、歯並びに悪影響を及ぼします。特に、言葉を覚え始める3歳頃を過ぎても指しゃぶりが続いている場合は注意が必要です。

長期間にわたって指をしゃぶり続けると、指が上の前歯を前方に押し出し、下の前歯を内側に倒してしまいます。これにより、典型的な出っ歯や、奥歯で噛んでも前歯が閉じない「開咬」という不正咬合を引き起こすリスクが高まります。これらの癖が顎の骨の成長方向にも影響を与え、口ゴボの見た目を悪化させることがあります。

3. 【自分で治したい人向け】横顔ブサイクを改善するセルフケアでの治し方

「できれば歯医者に通わずに、自力で口ゴボを治したい」と考える方は少なくありません。確かに、口元の突出の原因が骨格ではなく、口周りの筋肉の衰えや日常の癖にある場合、セルフケアで見た目の印象が改善する可能性はあります。ここでは、今日から始められる横顔の印象を改善するためのセルフケア方法をご紹介します。

ただし、これらの方法はあくまで軽度な症状の改善や、これ以上の悪化を防ぐためのものです。骨格的な問題が原因の場合は、セルフケアだけで根本的に治すことは難しいという点を理解しておくことが重要です。

3.1 口呼吸から鼻呼吸へ改善するトレーニング

無意識に行っている口呼吸は、常に口が開いた状態になるため、口周りの筋肉(口輪筋)が緩み、舌の位置が下がりやすくなります。その結果、舌が前歯を押し出す形になり、口ゴボを助長する原因となります。鼻呼吸を習慣づけることで、口元が引き締まり、舌が正しい位置に戻りやすくなります。

3.1.1 あいうべ体操

「あいうべ体操」は、口呼吸を鼻呼吸に改善するために福岡の「みらいクリニック」院長、今井一彰先生が考案した、口と舌の筋肉を鍛える簡単なトレーニングです。道具も不要で、いつでもどこでも実践できます。

  1. 「あー」と口を大きく開く。
  2. 「いー」と口を横に大きく広げる。
  3. 「うー」と唇を強く前に突き出す。
  4. 「べー」と舌を顎の先につけるようなイメージで、下へ思い切り伸ばす。

この1〜4を1セットとし、1日30セットを目安に行いましょう。声は出さなくても大丈夫です。慣れないうちは顎が疲れるかもしれませんが、無理のない範囲で続けてみてください。
参考: みらいクリニック あいうべ体操

3.1.2 睡眠中のマウステープ

日中は意識できても、睡眠中に口が開いてしまう方は多いです。その対策として、睡眠中に口に専用のテープを貼る「マウステープ」が有効です。物理的に口を閉じることで、自然と鼻呼吸を促します。ドラッグストアなどで購入できますが、鼻炎やアレルギーで鼻が詰まっている場合は、呼吸困難になる危険があるため使用しないでください。また、肌が弱い方はかぶれないように、医療用の肌に優しいテープを選びましょう。

3.2 舌を正しい位置にキープする舌の筋トレ(MFT)

MFT(Oral Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)とは、舌や唇、頬など口周りの筋肉のバランスを整え、正しく機能させるためのトレーニングプログラムです。舌が正しい位置にあることは、美しい横顔をキープするために非常に重要です。舌の正しい位置とは、舌先が上の前歯の少し後ろにある「スポット」と呼ばれるふくらみに軽く触れていて、舌全体が上顎に吸い付いている状態です。

3.2.1 スポットポジション・トレーニング

舌を正しい位置(スポット)に置く感覚を覚えるための基本的なトレーニングです。

  1. 舌先をスポット(上の前歯のすぐ後ろの歯茎のふくらみ)に置きます。
  2. 舌全体を上顎に吸い付けます。
  3. その状態をキープしたまま、唾液を「ごくん」と飲み込みます。

この時、唇や頬の筋肉を使わずに、舌の力だけで飲み込むのがポイントです。10回程度繰り返しましょう。意識しなくても自然に舌がスポットにある状態を目指します。

3.2.2 ポッピング(舌打ち)

舌を持ち上げる筋肉を鍛えるトレーニングです。「ポンッ」と鳴らす舌打ちの要領で行います。

  1. 舌全体を上顎にぴったりと吸い付けます。
  2. 唇は開けたまま、勢いよく舌を離して「ポンッ!」と大きな音を鳴らします。

この時、舌先だけでなく、舌全体が上顎から離れるように意識するのがコツです。1日15回程度を目安に行いましょう。

3.3 口周りの筋肉(口輪筋)を鍛えるエクササイズ

口輪筋は、口の周りをドーナツ状に囲んでいる筋肉です。この筋肉が衰えると、口を閉じる力が弱まり、口元が前に出やすくなります。口輪筋を鍛えることで、引き締まった口元を目指せます。

3.3.1 ボタン・プリング

歯科医院のMFTでも行われることがある、口輪筋を効果的に鍛えるトレーニングです。

  1. 直径2〜3cm程度の平らなボタンに、デンタルフロスや丈夫な糸を通します。
  2. 糸のついていないボタンの面を、唇と歯の間に挟みます。
  3. 唇をしっかりと閉じて、ボタンが口から飛び出さないように力を入れます。
  4. 糸を水平にゆっくりと引っ張り、唇の力で5秒間キープします。

これを10回程度繰り返します。唇の力だけで抵抗するのがポイントです。

3.3.2 割り箸エクササイズ

割り箸を1本用意するだけで簡単にできるエクササイズです。

  1. 割り箸を横にして、唇だけで軽くくわえます。歯で噛まないように注意してください。
  2. 口角を「いー」と発音するときのように、真横に引き上げます。
  3. 口角が割り箸のラインよりも上にくるように意識し、その状態を30秒〜1分キープします。

口角を上げる筋肉も同時に鍛えられ、笑顔の印象アップにも繋がります。

3.4 注意点 セルフケアで治せる範囲と限界

ここまでご紹介したセルフケアは、手軽に始められる一方で、その効果には限界があることを理解しておく必要があります。自己判断で無理なトレーニングを続けると、かえって顎に負担をかけてしまうリスクもあります。

セルフケアは、あくまで歯科矯正治療の補助や後戻りの防止、軽微な症状の改善を目的としたものと考えましょう。以下の表で、セルフケアの効果が期待できるケースと、難しいケースをまとめました。

分類 主な原因 セルフケアでの改善期待度
改善が期待できるケース 口呼吸、舌の癖、口周りの筋力低下など、後天的な癖が原因の軽度な口元の突出 △〜○
(悪化防止や多少の改善が期待できる)
改善が難しいケース 歯が大きく前に傾いている出っ歯(上顎前突)
上下の顎の骨そのものが前に出ている(上下顎前突)
下顎が小さい、または後ろに下がっている

(根本的な改善は不可能)

表からもわかるように、骨格に原因がある場合、自力で骨を動かすことはできません。自分の口ゴボの原因がどこにあるのかを正確に知らずにセルフケアを続けても、望むような効果は得られない可能性が高いのです。

もし、あなたが横顔のラインを根本的に、そして確実に改善したいと願うのであれば、まずは一度、矯正歯科の専門医に相談し、精密な検査を受けることが最も確実で安全な第一歩です。次の章では、歯科医院で行う本格的な治療法について詳しく解説していきます。

4. 【根本的な治し方】矯正歯科で行う口ゴボ治療の種類と費用

セルフケアは口周りの筋肉を整える上で有効ですが、残念ながら歯並びや骨格といった根本的な原因を解決することはできません。横顔の印象を大きく左右する口ゴボをしっかりと治したい場合、矯正歯科での専門的な治療が必要不可欠です。

ここでは、口ゴボの原因に応じて行われる代表的な矯正治療の種類と、気になる費用や期間について詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、どのような選択肢があるのかを確認してみましょう。

4.1 歯並びが原因の場合の矯正治療

口ゴボの原因が、歯の傾きや位置異常による「出っ歯(上顎前突)」である場合に選択されるのが、歯列矯正です。矯正装置を使って歯を動かし、正しい位置へと導くことで、突出した口元を後退させ、美しいEラインを目指します。口元を大きく下げるためには、スペースを確保するために小臼歯などを抜歯するケースが多く見られます。代表的な治療法は「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」です。

4.1.1 ワイヤー矯正(表側・裏側)

ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」という装置を接着し、そこにワイヤーを通して力をかけることで歯を動かす、最も歴史と実績のある治療法です。幅広い症例に対応できるのが大きな強みです。

  • 表側矯正
    歯の表側(唇側)に装置を取り付ける一般的な方法です。金属の装置が目立つというデメリットがありましたが、近年では白いセラミックや透明なプラスチックでできた目立ちにくいブラケット、白いワイヤーなども登場しています。あらゆる歯並びに対応可能で、比較的費用を抑えられる傾向にあります。
  • 裏側矯正(舌側矯正)
    歯の裏側(舌側)に装置を取り付けるため、外からは矯正していることがほとんど分かりません。人前に出る機会が多い方や、見た目を気にされる方に人気の方法です。ただし、表側矯正に比べて費用が高額になり、装置が舌に当たるため慣れるまで発音しにくいといったデメリットがあります。また、高度な技術を要するため、対応できる歯科医師が限られます。

4.1.2 マウスピース矯正(インビザラインなど)

透明なマウスピース型の矯正装置を、治療計画に沿って定期的に交換していくことで歯を動かす比較的新しい治療法です。「インビザライン」が世界的に有名です。最大のメリットは、装置が透明で目立たないことと、食事や歯磨きの際に自分で取り外せる手軽さです。

ワイヤー矯正に比べて痛みが少ない傾向にありますが、1日20時間以上の装着が必要など、患者様ご自身の協力が治療結果を大きく左右します。以前は対応できる症例が限られていましたが、技術の進歩により、抜歯を伴うような複雑な口ゴボ治療にも対応できるケースが増えています。ただし、重度の症例では適用が難しい場合もあるため、まずは歯科医師による精密な診断が必要です。

4.2 骨格に原因がある場合の外科的矯正治療

歯並びだけでなく、上顎が出すぎている、下顎が極端に小さい・後退しているなど、顎の骨格そのものに問題がある場合は、歯列矯正だけでは十分な改善が見込めません。このようなケースでは、顎の骨を切って位置を整える外科手術と、歯列矯正を組み合わせた「外科的矯正治療」が選択肢となります。

一般的には、まず手術の前に歯並びを整える「術前矯正」を行い、その後、提携する大学病院や総合病院の口腔外科で顎の骨の手術(セットバック手術など)を受けます。手術後、噛み合わせを最終調整するための「術後矯正」を行って治療が完了します。入院が必要で身体的な負担も大きいですが、顔立ちの印象を劇的に改善できる根本的な治療法です。

なお、「顎変形症(がくへんけいしょう)」と診断された場合の外科的矯正治療は、健康保険が適用されます。ただし、保険適用で治療を受けるには、厚生労働省が定めた施設基準を満たす医療機関(顎口腔機能診断施設)で治療を受ける必要があります。詳しくは日本矯正歯科学会のウェブサイトで施設を確認するか、カウンセリング時に直接クリニックへお問い合わせください。

4.3 歯科矯正で口ゴボを治すメリットとデメリット

口ゴボを歯科矯正で治療することには、見た目の改善以外にも多くのメリットがありますが、一方でデメリットやリスクも存在します。治療を始める前に両方を正しく理解しておくことが、後悔しないための重要なポイントです。

メリット デメリット
審美面 Eラインが整い、美しい横顔になる 治療方法によっては装置が目立つ
機能面 口が閉じやすくなり、口呼吸から鼻呼吸へ改善される
正しい噛み合わせになり、食べ物をしっかり咀嚼できる
治療中に痛みや違和感、口内炎などが生じることがある
抜歯が必要になる場合がある
健康面 歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが減る
顎関節への負担が軽減される
治療期間が長く、定期的な通院が必要
精神面 コンプレックスが解消され、自信を持って笑えるようになる 治療後の後戻りを防ぐため、保定装置(リテーナー)の装着が必要

4.4 口ゴボ治療にかかる費用と期間の目安

口ゴボ治療にかかる費用や期間は、お口の状態(症例の難易度)や選択する治療法、クリニックによって大きく異なります。以下はあくまで一般的な目安として参考にしてください。また、提示された費用にどこまで(検査料、調整料、保定装置料など)が含まれているのか、事前にしっかりと確認することが大切です。

治療法 費用相場(自費診療の場合) 期間の目安
ワイヤー矯正(表側) 70万円~110万円 1.5年~3年程度
ワイヤー矯正(裏側) 100万円~150万円 2年~3年程度
マウスピース矯正 80万円~120万円 1.5年~3年程度
外科的矯正治療(保険適用の場合) 50万円~80万円(手術費+矯正治療費) 2年~4年程度

自費診療の場合、費用は高額になりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。一年間に支払った医療費が10万円を超える場合、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認いただくか、お住まいの地域の税務署にお問い合わせください。

5. 後悔しないために!口元の悩みを相談する矯正歯科クリニックの選び方

口ゴボの治療は専門性が高く、治療期間も長くなり費用も決して安くはありません。だからこそ、心から信頼できる矯正歯科クリニックを選ぶことが何よりも大切です。治療の成否は、どの矯正歯科クリニックを選ぶかに大きく左右されると言っても過言ではありません。ここでは、あなたが後悔しないためのクリニック選びの重要なポイントを3つご紹介します。

5.1 矯正歯科の認定医・専門医が在籍しているか

歯科医師であれば誰でも矯正治療を行えますが、その知識や技術には大きな差があります。特に口ゴボ治療には、矯正歯科分野における深い知識と豊富な経験が不可欠です。そこで一つの大きな指標となるのが、日本矯正歯科学会が認定する「認定医」や「臨床指導医(旧専門医)」といった資格です。

これらの資格は、大学病院などの認定研修機関で5年以上の専門的なトレーニングを積み、厳しい審査に合格した歯科医師にのみ与えられます。つまり、矯正治療のプロフェッショナルであることの証です。

資格の種類 概要
認定医 学会が認めた大学病院や矯正歯科医療機関において、5年以上の専門研修を修了し、学術論文の発表や審査に合格した歯科医師。矯正治療に関して適切かつ十分な学識と経験を有します。
臨床指導医(旧専門医) 認定医の資格を持ち、さらに10年以上の矯正治療経験と多くの治療実績が求められます。より高度な知識と技術を持ち、他の歯科医師を指導する立場にある、矯正歯科のスペシャリストです。

クリニックのウェブサイトで資格の有無を確認したり、公益社団法人 日本矯正歯科学会のウェブサイトで在籍する医師を検索したりすることができます。まずは相談しようと考えているクリニックに、これらの資格を持つ歯科医師がいるかを確認しましょう。

5.2 セファログラムなど精密検査の設備が充実しているか

横顔の美しさを左右する口ゴボの原因は、歯の傾きだけでなく、顎の骨格にも関係していることがほとんどです。そのため、見た目だけで判断するのではなく、科学的な根拠に基づいた精密な検査と診断が治療の成功の鍵を握ります。

特に、口ゴボの原因を正確に診断するために不可欠なのが、「セファログラム(頭部X線規格写真)」による骨格分析です。セファログラムは、顔の骨格を真横や正面から撮影する特殊なレントゲンで、これによって歯だけでなく、上下の顎の大きさや位置、前後関係、顔の骨格に対する歯の角度などを詳細に分析できます。この分析結果をもとに、最適な治療計画を立案するのです。

セファログラムを導入していないクリニックでは、根本原因を見誤り、満足のいく治療結果が得られない可能性があります。その他、顎の骨の厚みや歯の根の状態を三次元的に把握できる「歯科用CT」や、快適な歯型採りができる「3D口腔内スキャナー(iTeroなど)」といった設備が整っているかも、より質の高い治療を受けられるかどうかの判断材料になります。

5.3 カウンセリングで納得できる説明を受けられるか

治療を始める前のカウンセリングは、あなたの悩みや希望を医師に伝え、信頼関係を築くための非常に重要な機会です。複数のクリニックでカウンセリングを受け、治療方針や費用、医師との相性を比較検討することをおすすめします。カウンセリングの際には、以下の点をしっかりチェックしましょう。

チェック項目 確認するポイント
傾聴力 あなたの悩みや理想の口元について、親身に時間をかけて聞いてくれるか。
診断と治療計画 精密検査の結果に基づき、なぜ口ゴボになっているのか、その原因を分かりやすく説明してくれるか。具体的な治療計画を複数の選択肢とともに提示してくれるか。
メリット・デメリットの説明 治療のメリットだけでなく、抜歯の必要性、治療中の痛みや不快感、後戻りの可能性といったデメリットやリスクについても正直に説明してくれるか。
費用と期間の明瞭さ 治療にかかる総額(検査料、装置料、調整料、保定装置料など)を明確に提示してくれるか(トータルフィー制度など)。治療期間の目安も示してくれるか。
質問への対応 専門用語ばかり使わず、あなたの疑問や不安に対して、納得できるまで丁寧に答えてくれるか。質問しやすい雰囲気か。

これらのポイントを確認し、「この先生になら安心して任せられる」と心から思えるクリニックを選びましょう。少しでも疑問や不安が残る場合は、無理に契約せず、セカンドオピニオンを求めることも大切です。

5.4 医療法人 札幌矯正歯科では口ゴボのカウンセリングを行っています

ここまで、後悔しない矯正歯科クリニックの選び方について解説してきました。もしあなたが札幌市やその近郊にお住まいで、口元の突出や横顔のラインにお悩みでしたら、ぜひ一度、当院のカウンセリングにお越しください。

医療法人 札幌矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が、セファログラムや歯科用CTを用いた精密診断に基づき、お一人おひとりの骨格や歯並びの状態に合わせた最適な治療計画をご提案いたします。カウンセリングでは、あなたの悩みやご希望をじっくりお伺いし、治療のメリット・デメリット、費用や期間について、ご納得いただけるまで丁寧に説明することをお約束します。口ゴボに関するご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

6. まとめ

横顔がブサイクに見える原因の多くは、口元が突出した「口ゴボ」にあります。原因は、骨格や歯並びといった先天的なものから、口呼吸や舌の癖といった後天的なものまで多岐にわたります。セルフケアでの改善には限界があるため、根本的な解決には歯科矯正が最も有効な治し方です。理想の横顔を手に入れるためには、まず専門のクリニックで精密検査を受け、ご自身の原因に合った治療法を知ることが重要です。

矯正治療のご相談をご希望の方は、下記のボタンよりお気軽にご予約ください。

この記事の監修者

尾立 卓弥(おだち たくや)

医療法人札幌矯正歯科 理事長
宮の沢エミル矯正歯科 院長

北海道札幌市の矯正専門クリニック「宮の沢エミル矯正歯科」院長。
日本矯正歯科学会 認定医。

expand_less
011-666-7500 LINE 無料相談 / 予約 WEB予約