なぜ口内炎ができる?原因と治し方、痛みを和らげる裏ワザまで徹底解説!
つらい口内炎に悩んでいませんか?この記事を読めば、なぜ口内炎ができるのか、その多様な原因が分かります。さらに、市販薬を使った基本的な治し方から、はちみつや塩水うがいなど痛みを和らげる裏ワザ、病院での治療法、そして繰り返さないための予防策まで徹底解説。口内炎の多くは原因に合わせた正しい治し方とセルフケアで改善可能です。原因を知り、適切な対処法を実践して、不快な痛みから解放されましょう。
1. つらい口内炎 その痛みから解放されたいあなたへ
食事をするたびにズキッと痛む、熱いものや冷たいものがしみる、会話をするのも億劫になる…。口内炎の痛みは、日常生活の質を大きく低下させる厄介な存在ですよね。たかが口内炎と軽く考えていても、一度できるとなかなか治らず、憂鬱な気分が続くことも少なくありません。
「どうして繰り返し口内炎ができるんだろう?」
「この痛みを少しでも早く和らげる方法はないの?」
「薬を使わずに治す裏ワザってあるのかな?」
そんな切実な悩みや疑問を抱えているあなたのために、この記事では口内炎に関する情報を徹底的に解説します。なぜ口内炎ができるのか、その根本的な原因から、症状や種類に応じた正しい治し方、そしてすぐに試せる痛みを和らげる裏ワザまで、幅広くご紹介します。
さらに、セルフケアで改善しない場合の病院での治療法や、二度とつらい思いをしないための予防法についても詳しく触れていきます。この記事を読めば、口内炎の悩みから解放され、健やかな口内環境を取り戻すための具体的なステップがわかります。
口内炎は、体の不調を示すサインであることもあります。一般的な口内炎の情報については、第一三共ヘルスケアのウェブサイトなども参考に、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。さあ、一緒に口内炎の悩み解決への第一歩を踏み出しましょう。
2. なぜ口内炎ができるのか その主な原因
多くの方が一度は経験するつらい口内炎。食事や会話もままならなくなるほどの痛みを伴うこともあります。なぜ、あの痛い口内炎ができてしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、口内炎ができてしまう主な原因について詳しく見ていきましょう。
2.1 ストレスや疲れによる免疫力の低下
精神的なストレスや肉体的な疲労が蓄積すると、体の免疫力が低下します。免疫力が低下すると、普段は抑えられている口の中の常在菌のバランスが崩れたり、粘膜の抵抗力が弱まったりして、口内炎ができやすくなります。仕事や人間関係の悩み、環境の変化、過労などが引き金になることが多いです。ストレスを感じると、唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥しやすくなることも、口内炎のリスクを高める一因とされています。
2.2 ビタミン不足など栄養バランスの乱れが原因
口の中の粘膜を健康に保つためには、ビタミン類を中心とした栄養素が不可欠です。特に、ビタミンB群(B2、B6、B12など)は粘膜の代謝に関わる重要な栄養素であり、不足すると口内炎ができやすくなります。また、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンAやビタミンC、抗酸化作用を持つビタミンE、さらには鉄分や亜鉛などのミネラルも粘膜の保護に関与しています。外食が多い、偏った食事をしている、ダイエット中などで栄養バランスが乱れている方は注意が必要です。
口内炎の予防や改善に関わる主な栄養素とその働き、多く含む食品の例を以下に示します。
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品例 |
---|---|---|
ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の保護、エネルギー代謝の補助 | レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉物野菜 |
ビタミンB6 | 皮膚や粘膜の健康維持、タンパク質の代謝補助 | マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ、にんにく |
ビタミンB12 | 神経機能の維持、赤血球の生成補助 | レバー、貝類(しじみ、あさり)、魚卵 |
ビタミンA | 皮膚や粘膜の健康維持、免疫機能の維持 | レバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草) |
ビタミンC | コラーゲンの生成補助、抗酸化作用 | 果物(キウイ、イチゴ)、野菜(ピーマン、ブロッコリー)、いも類 |
鉄分 | 赤血球の生成補助、粘膜の健康維持 | レバー、赤身肉、貝類、ほうれん草、小松菜 |
亜鉛 | 細胞の新陳代謝、味覚の維持、免疫機能の維持 | 牡蠣、牛肉、豚レバー、チーズ、ナッツ類 |
これらの栄養素をバランス良く摂取することが、口内炎のできにくい口内環境を作る上で重要です。詳細な情報については、第一三共ヘルスケアのウェブサイトなども参考にしてください。
2.3 口の中の傷や不衛生な状態が原因
口の中の粘膜にできた傷が原因で口内炎が発生することも少なくありません。例えば、食事中に誤って頬の内側を噛んでしまったり、硬い食べ物や熱い飲み物で粘膜を傷つけたり、歯ブラシが強く当たったり、矯正器具や合わない入れ歯などが常に粘膜に接触して刺激を与えたりすることが挙げられます。また、口の中が不衛生な状態だと、傷口から細菌が侵入しやすくなり、炎症が悪化して口内炎につながることがあります。磨き残しが多く、歯垢(プラーク)が溜まっている状態や、虫歯、歯周病なども口内環境を悪化させる要因となります。
2.4 睡眠不足など生活習慣の乱れ
睡眠不足は、免疫力の低下や体の回復機能の遅れを招き、口内炎ができやすい状態を引き起こします。夜更かしや不規則な睡眠時間は、ホルモンバランスの乱れにもつながり、粘膜のターンオーバー(新陳代謝)に悪影響を与える可能性があります。また、喫煙や過度の飲酒といった生活習慣も、口の中の粘膜を刺激したり、血行を悪化させたり、ビタミンの消費を早めたりするため、口内炎のリスクを高める要因となります。
2.5 特定の食品や金属によるアレルギー反応
まれなケースですが、特定の食品や歯科治療で使用される金属に対するアレルギー反応として口内炎が現れることがあります。食品では、果物、野菜、ナッツ類、香辛料などが原因となることがあります。歯科金属アレルギーの場合は、銀歯などの詰め物や被せ物、入れ歯の金属部分などが原因となり、接触している部分やその周辺に口内炎や粘膜のただれが見られることがあります。原因となる物質に触れるたびに症状を繰り返す場合は、アレルギーを疑ってみる必要があるかもしれません。
2.6 ウイルスや細菌の感染が原因の場合も
口内炎の中には、特定のウイルスや細菌、真菌(カビ)の感染が直接的な原因となるものもあります。代表的なものとしては、単純ヘルペスウイルスによる「ヘルペス性口内炎」や、カンジダという真菌(カビ)が増殖して起こる「カンジダ性口内炎」などがあります。これらの感染症による口内炎は、一般的なアフタ性口内炎とは症状の現れ方や治療法が異なる場合があります。特に、免疫力が低下しているとき(病気治療中、高齢者、乳幼児など)に発症しやすい傾向があります。
3. 種類によって違う 口内炎の原因を詳しく解説
口内炎と一口に言っても、その見た目や原因はさまざまです。代表的な口内炎の種類と、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。ご自身の症状と照らし合わせることで、原因の特定や適切な対処法のヒントが見つかるかもしれません。
3.1 最も一般的なアフタ性口内炎の原因
口内炎の中で最も多く見られるのが「アフタ性口内炎」です。「潰瘍性口内炎」とも呼ばれ、痛みを伴うのが特徴です。その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。
主な誘因としては、以下のものが挙げられます。
- ストレスや疲労の蓄積: 過度のストレスや肉体的な疲れは、体の免疫機能を低下させ、口内炎ができやすい状態を招きます。
- 栄養バランスの偏り: 特にビタミンB2、B6、B12、葉酸などのビタミンB群の不足は、口の粘膜の健康維持に影響を与え、アフタ性口内炎の引き金となることがあります。
- 睡眠不足: 不規則な生活や睡眠不足も、免疫力の低下につながり、口内炎を発症しやすくします。
- 遺伝的要因や体質: 口内炎ができやすい体質の方もいます。
- ホルモンバランスの変化: 特に女性の場合、月経前や妊娠中などホルモンバランスが変化する時期に口内炎ができやすくなることがあります。
アフタ性口内炎は、頬の内側、唇の裏、舌、歯茎などに、白または黄白色の膜で覆われた円形または楕円形の浅い潰瘍(アフタ)ができるのが特徴です。通常、1つまたは数個でき、強い痛みを伴いますが、1~2週間程度で自然に治ることがほとんどです。しかし、繰り返し発症することも多く、「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれています。
原因がはっきりと特定されていないため、上記の誘因を避ける生活を心がけることが予防につながります。詳しい情報については、医療情報サイトなども参考にしてください。(例:MSDマニュアル家庭版 – 口内炎と関連疾患)
3.2 物理的な刺激が原因のカタル性口内炎
「カタル性口内炎」は、口の中の粘膜が物理的な刺激によって傷つき、そこから細菌が繁殖して炎症を起こすタイプの口内炎です。「外傷性口内炎」とも呼ばれます。
原因となる物理的な刺激には、以下のようなものがあります。
- 頬の内側を誤って噛んでしまう
- 歯ブラシによる強い刺激
- 矯正器具や入れ歯(義歯)の不具合による接触
- 熱い食べ物や飲み物によるやけど
- 硬い食べ物による粘膜の損傷
- 虫歯や欠けた歯の鋭利な部分による刺激
カタル性口内炎の特徴は、アフタ性口内炎のようなはっきりとした潰瘍ではなく、粘膜が赤く腫れたり、ただれたり(びらん)、水ぶくれができたりする点です。炎症の境界は不明瞭で、唾液の分泌量が増えたり、口臭が強くなったり、味覚を感じにくくなったりすることもあります。痛みは比較的軽い場合もありますが、刺激が続くと悪化することもあります。
原因が明確なため、その刺激を取り除くことが最も重要です。例えば、合わない入れ歯や矯正器具は歯科で調整してもらう、硬い食べ物を避ける、歯磨きを優しく行うなどの対策で改善が見込めます。
3.3 ウイルス感染が原因のウイルス性口内炎
「ウイルス性口内炎」は、特定のウイルスに感染することによって引き起こされる口内炎です。原因となるウイルスによって症状や現れる場所が異なります。他の口内炎と異なり、感染力を持つ場合があるため注意が必要です。
代表的なウイルス性口内炎には以下のようなものがあります。
原因ウイルス | 主な疾患名 | 特徴的な症状 | 主な感染経路 |
---|---|---|---|
単純ヘルペスウイルス1型 | ヘルペス性口内炎(歯肉口内炎) | 唇や口の周り、口の中に多数の小さな水ぶくれ(小水疱)ができ、それが破れてびらんや潰瘍になる。発熱や強い痛み、歯茎の腫れを伴うことが多い。特に乳幼児に初感染として見られることが多い。 | 接触感染(唾液、水疱の内容物)、飛沫感染 |
水痘・帯状疱疹ウイルス | (水痘や帯状疱疹に伴う症状) | 水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹が発症した際に、口の中の粘膜にも水疱や潰瘍ができることがある。 | 空気感染、接触感染、飛沫感染 |
コクサッキーウイルスA群など (エンテロウイルス属) |
手足口病 | 口の中(舌や頬の粘膜)、手のひら、足の裏などに水疱性の発疹が現れる。発熱を伴うこともある。夏に流行しやすい。 | 接触感染、飛沫感染、糞口感染 |
コクサッキーウイルスA群など (エンテロウイルス属) |
ヘルパンギーナ | 喉の奥(口蓋垂の周辺)に小さな水疱や赤い発疹、浅い潰瘍ができる。突然の高熱や喉の痛みが特徴。夏に流行しやすい。 | 接触感染、飛沫感染、糞口感染 |
ウイルス性口内炎が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関(内科、小児科、皮膚科、歯科・口腔外科など)を受診することが重要です。特にヘルペス性口内炎は、抗ウイルス薬による早期治療が効果的です。手足口病やヘルパンギーナは特効薬がなく、対症療法が中心となります。感染拡大を防ぐため、タオルの共用を避ける、手洗いを徹底するなどの対策も必要です。(参考:国立感染症研究所 – ヘルパンギーナとは、国立感染症研究所 – 手足口病とは)
3.4 アレルギー性やニコチン性など その他の口内炎の原因
上記以外にも、特定の原因によって引き起こされる口内炎があります。
口内炎の種類 | 主な原因 | 特徴的な症状・所見 | 対処法 |
---|---|---|---|
アレルギー性口内炎 | 特定の食べ物(果物、野菜、ナッツなど)、薬剤、歯磨き粉の成分、歯科治療で使われる金属(銀歯など)に対するアレルギー反応。 | 原因物質(アレルゲン)に触れた粘膜部分に、赤み、腫れ、ただれ、水疱などが現れる。かゆみを伴うこともある。 | 原因物質の特定と除去。皮膚科やアレルギー科での検査が必要な場合もある。歯科金属が原因の場合は、原因とならない材質への変更を検討。 |
ニコチン性口内炎 | 長期間の喫煙習慣。タバコの煙に含まれる化学物質や熱による刺激が原因。 | 主に口蓋(上あごの天井部分)の粘膜が白く厚く、硬くなる(角化)。唾液腺の開口部が赤く点状に見えることもある。痛みは少ないことが多い。 | 禁煙が最も重要な治療法であり予防法。禁煙により改善が見込める。 |
カンジダ性口内炎 | カンジダ菌という真菌(カビの一種)が口の中で異常に増殖することが原因。普段は無害な常在菌だが、免疫力の低下(病気、加齢、ステロイド薬や抗生物質の長期使用など)、口内の不衛生、唾液分泌の減少などが誘因となる。 | 頬の内側や舌などに、白い苔のような膜(偽膜)が付着する(偽膜性カンジダ症)。この膜はガーゼなどで拭うと剥がれ落ち、下には赤い粘膜が見える。粘膜が赤くなるだけの場合(萎縮性カンジダ症)もある。ヒリヒリとした痛みを伴うことがある。 | 抗真菌薬(塗り薬やうがい薬、内服薬)による治療。口腔ケアの徹底、原因となる基礎疾患の治療、薬剤の見直しなどが必要。歯科や口腔外科、内科、皮膚科などで診断・治療を受ける。 |
これらの口内炎は、原因に応じた適切な対処が必要です。症状が長引く場合や、原因に心当たりがある場合は、早めに専門医に相談しましょう。
4. 口内炎の基本的な治し方 セルフケア編
口内炎ができてしまった場合でも、軽度であればセルフケアで改善を目指すことが可能です。ここでは、ご自身でできる基本的な口内炎の治し方について、具体的な方法を解説します。適切なケアを行うことで、痛みを和らげ、治癒を早めることが期待できます。
4.1 市販薬を使った口内炎の治し方 塗り薬と貼り薬
ドラッグストアなどで購入できる市販薬は、口内炎のセルフケアにおいて心強い味方です。主に「塗り薬(軟膏・ゲル)」と「貼り薬(パッチ)」の2種類があり、症状や部位、使い心地に合わせて選ぶことができます。
塗り薬は、患部に直接塗布することで、有効成分が浸透し、炎症を抑えたり痛みを鎮めたりする効果が期待できます。ゲルタイプは比較的さらっとしており、軟膏タイプは患部を保護する効果が高い傾向にあります。食事などで取れやすい場合があるため、食後や就寝前など、患部に長くとどまるタイミングで使用するのがおすすめです。
一方、貼り薬は、患部に直接貼り付けることで、薬効成分を持続的に届けながら、外部からの刺激(食べ物、歯、舌など)を防ぐことができます。特に痛みが強い場合や、歯が当たりやすい場所にできた口内炎に適しています。唾液で溶けるタイプや、自然に剥がれるタイプなどがあります。
市販薬を選ぶ際は、配合されている成分を確認しましょう。炎症を抑えるステロイド成分配合のものや、殺菌成分、粘膜修復を助ける成分配合のものなどがあります。薬剤師や登録販売者に相談し、ご自身の症状に合った薬を選ぶことが大切です。使用する際は、必ず説明書をよく読み、用法・用量を守ってください。数日間使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、使用を中止し医療機関を受診しましょう。
4.2 うがい薬で口内を清潔に保つ治し方
口内炎の治癒には、口の中を清潔に保つことが非常に重要です。うがい薬を使用することで、口内の細菌の増殖を抑え、患部の感染リスクを低減し、口内環境を整えることができます。
うがい薬には、殺菌・消毒成分が含まれているものや、抗炎症成分が含まれているものがあります。口内炎のケアには、ポビドンヨードやアズレンスルホン酸ナトリウムなどが配合されたうがい薬が用いられることがあります。ただし、刺激が強すぎると感じる場合は、ノンアルコールタイプや低刺激性のものを選ぶようにしましょう。
効果的なうがいのポイントは以下の通りです。
- タイミング: 食後や就寝前など、口の中に食べかすが残りやすいタイミングで行うのが効果的です。
- 方法: 適量を口に含み、口全体に行き渡らせるように、頬を膨らませたり、上を向いて喉の奥までガラガラうがいをしたりします。数十秒程度かけて丁寧に行いましょう。
- 頻度: 1日数回を目安に行いますが、製品の指示に従ってください。
うがい薬はあくまで補助的なケアであり、これだけで口内炎がすぐに治るわけではありませんが、口内環境を良好に保つことで、治癒をサポートする役割が期待できます。
参考: うがいの効果とは?正しい方法や種類について解説|イソジン
4.3 栄養摂取を意識した食事による治し方
口内炎の原因の一つに栄養バランスの乱れが挙げられるように、治癒過程においても栄養は非常に重要です。特に、皮膚や粘膜の健康維持に関わるビタミン類を積極的に摂取することが、口内炎の回復を助けます。
4.3.1 口内炎に効くビタミンB群を多く含む食品
ビタミンB群、特にビタミンB2とビタミンB6は、皮膚や粘膜の代謝を助け、健康な状態を保つために不可欠な栄養素です。不足すると口内炎ができやすくなると言われています。これらのビタミンを多く含む食品を意識して摂取しましょう。
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品例 |
---|---|---|
ビタミンB2 | 皮膚・粘膜の保護、成長促進 | レバー(豚・牛)、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉物野菜(ほうれん草など) |
ビタミンB6 | 皮膚・粘膜の健康維持、タンパク質の代謝補助 | かつお、まぐろ、鮭、鶏肉(特にささみ・むね肉)、バナナ、にんにく、玄米 |
これらの食品をバランス良く食事に取り入れることが大切です。
4.3.2 粘膜の健康を保つビタミンA C E
ビタミンB群に加えて、ビタミンA、C、Eも粘膜の健康維持や抵抗力向上に役立ちます。
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品例 |
---|---|---|
ビタミンA | 皮膚・粘膜の保護、免疫機能の維持 | レバー、うなぎ、緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)、卵黄 |
ビタミンC | コラーゲンの生成促進、抗酸化作用、免疫力向上 | 果物(キウイ、いちご、柑橘類など)、野菜(ピーマン、ブロッコリーなど)、いも類 |
ビタミンE | 抗酸化作用、血行促進 | ナッツ類(アーモンドなど)、植物油(ひまわり油など)、アボカド、かぼちゃ |
これらのビタミンは互いに協力し合って働くため、特定の食品に偏らず、様々な食品からバランス良く摂取することを心がけましょう。ただし、口内炎が痛くて食事が摂りにくい場合は、無理せず食べやすいものを選び、サプリメントなどを活用することも検討しましょう。
4.4 十分な睡眠と休息による治し方
睡眠不足や過労は、免疫力の低下を招き、口内炎の治癒を遅らせる大きな要因となります。体が休息している間に、傷ついた組織の修復や免疫機能の回復が行われます。そのため、口内炎を早く治すためには、十分な睡眠と休息を確保することが非常に重要です。
質の高い睡眠をとるためには、以下の点を意識してみましょう。
- 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝起きするなど、生活リズムを整える。
- 寝室環境: 静かで暗く、快適な温度・湿度の寝室環境を作る。
- 就寝前の習慣: 就寝前のカフェイン摂取や激しい運動、スマートフォンやパソコンの使用を控える。ぬるめのお風呂に入る、軽いストレッチをするなどリラックスできる時間を作る。
また、日中に疲れを感じたら、無理せず休憩を取ることも大切です。心身のストレスを軽減し、体をしっかりと休ませることが、口内炎の早期回復につながります。
5. 早く治したい 痛みを和らげる口内炎の裏ワザ
口内炎のズキズキとした痛みは、食事や会話もままならなくなり、本当につらいものです。一刻も早くこの痛みから解放されたい、そんな時に試せる応急処置や痛みを和らげるための裏ワザをご紹介します。ただし、これらはあくまで一時的な対処法であり、根本的な治療ではないことをご理解ください。症状が長引く場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
5.1 すぐに試せる 口内炎の痛みを和らげる裏ワザ
ここでは、ご家庭にあるものなどを活用して、すぐに試せる口内炎の痛みを和らげるための方法をいくつかご紹介します。
5.1.1 はちみつを使ったケア方法
はちみつは、古くからその抗菌作用や抗炎症作用が知られており、口内炎のケアに利用されることがあります。粘膜を保護する効果も期待できるため、痛みの緩和につながる可能性があります。
使い方は簡単です。清潔な綿棒などに少量のはちみつを取り、口内炎の患部に直接優しく塗布します。1日に数回、食後や就寝前などに行うのがおすすめです。ただし、はちみつには糖分が含まれているため、塗布後は口内に残らないよう、軽く水でゆすぐか、しばらくしてから歯磨きをするなど、虫歯のリスクにも配慮しましょう。
注意点: 1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対にはちみつを与えたり、塗布したりしないでください。また、はちみつアレルギーのある方も使用を避けてください。
(参考:ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。 – 厚生労働省)
5.1.2 塩水うがいの効果的なやり方
塩水うがいは、手軽にできる口腔ケアの一つで、口内を殺菌・浄化し、炎症を抑える効果が期待できます。口内炎の痛みを和らげ、清潔な状態を保つことで治癒を助けると考えられています。
効果的な塩水うがいの方法は以下の通りです。
- 濃度: コップ1杯(約180ml~200ml)のぬるま湯に対して、小さじ半分(約2~3g)程度の食塩を溶かします。濃度が高すぎると粘膜を刺激してしまう可能性があるため注意しましょう。生理食塩水(約0.9%)に近い濃度が目安です。
- うがいの方法: 塩水を口に含み、口内全体に行き渡らせるように、頬を膨らませたりしながらブクブクと30秒ほどうがいをします。患部に優しく当てるように意識すると良いでしょう。その後、上を向いて喉の奥で15秒ほどガラガラうがいをします(喉の近くにできている場合)。
- 頻度: 1日に2~4回程度、起床時、食後、就寝前などに行うのがおすすめです。やりすぎはかえって粘膜を傷つける可能性があるので注意しましょう。
塩水うがいは、特別な道具も不要で、口内炎の予防や、できてしまった後の悪化防止にも役立つ手軽なセルフケアです。
5.1.3 食事の工夫 しみにくい食べ物と食べ方
口内炎ができている時の食事は、痛みが伴い憂鬱になりがちです。刺激の強い食べ物や飲み物は、患部にしみて痛みを増強させてしまうため、できるだけ避けるようにしましょう。痛みを和らげ、栄養をしっかり摂るための食事の工夫をご紹介します。
避けた方が良い食べ物・飲み物 | 比較的しみにくく摂りやすい食べ物・飲み物 |
---|---|
熱すぎるもの、冷たすぎるもの(熱々のスープ、ラーメン、氷など) | 人肌程度の温度のもの(冷ましたおかゆ、ポタージュスープ、湯豆腐など) |
香辛料が多いもの(唐辛子、わさび、カレー、キムチなど) | 薄味で消化の良いもの(だし巻き卵、白身魚の煮付け、野菜の煮物など) |
酸味が強いもの(レモン、オレンジなどの柑橘類、酢の物、梅干しなど) | 口当たりが滑らかなもの(ヨーグルト、ゼリー、プリン、バナナ、豆腐など) |
塩辛いもの(漬物、スナック菓子、インスタント食品など) | 柔らかく調理されたもの(茶碗蒸し、すりおろしリンゴ、パン粥、柔らかく煮込んだうどんなど) |
硬いもの、尖ったもの(せんべい、ナッツ、フランスパンの皮、揚げ物の衣など) | 水分補給(水、麦茶、牛乳、経口補水液など) |
アルコール飲料、炭酸飲料、カフェイン飲料 | 栄養補助食品やプロテイン飲料なども活用 |
食べ方にも工夫をしましょう。小さく切ったり、細かく刻んだり、ミキサーにかけたりすると、口内への物理的な刺激を減らすことができます。また、痛みが強い場合は、ストローを使って飲み物を飲むと、患部に直接触れるのを避けられることがあります。食後はすぐに口をゆすぐか、優しく歯磨きをして口内を清潔に保つことも大切です。
5.1.4 患部を冷やす応急処置
口内炎の痛みが強い場合、患部を冷やすことで一時的に痛覚を鈍らせ、炎症による腫れや熱感を和らげる効果が期待できます。これはあくまで応急処置的な方法です。
具体的には、氷片を口に含んで患部に直接当てるか、冷水を口に含んでしばらく冷やすといった方法があります。ただし、冷たすぎるとかえって刺激になることもあるため、氷を直接長時間当て続けるのは避けましょう。清潔なガーゼなどで氷を包んでから当てるのも良い方法です。この方法は、痛みが特に強い時の即効性のある対症療法として覚えておくと役立ちます。
6. なかなか治らない口内炎 病院での治し方
市販薬を使ったり、生活習慣を見直したりしても口内炎がなかなか治らない、あるいは症状が悪化している場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。口内炎だと思っていたものが、実は別の病気のサインである可能性も考えられます。ここでは、病院を受診する目安と、歯科や口腔外科などで行われる専門的な治療法について解説します。
6.1 歯科や口腔外科を受診する目安
通常の口内炎(アフタ性口内炎など)は、1~2週間程度で自然に治ることが多いです。しかし、以下のような場合は、単なる口内炎ではない可能性や、重症化している可能性があるため、早めに専門医に相談しましょう。
- 2週間以上経っても症状が改善しない、あるいは悪化している場合
- 口内炎の範囲が広い、または数が多く、飲食が困難な場合
- 痛みが非常に強く、日常生活に支支障をきたしている場合
- 口内炎だけでなく、発熱や倦怠感などの全身症状を伴う場合
- 口内炎が頻繁に繰り返される(再発性アフタ性口内炎など)場合
- 患部が硬くなっていたり、しこりのように感じられたりする場合(悪性腫瘍の可能性も否定できないため)
- 水ぶくれのような症状が見られる場合(ウイルス性口内炎の可能性)
受診する診療科は、まずはかかりつけの歯科医院や口腔外科が適しています。口の中の専門家である歯科医師が、口内炎の種類や原因を診断し、適切な治療を行います。必要に応じて、耳鼻咽喉科や皮膚科、内科など他の診療科への紹介もしてくれます。全身疾患が疑われる場合は、内科での検査が必要になることもあります。
受診の目安について、詳しくは医療機関の情報も参考にしてください。例えば、日本歯科医師会のウェブサイトでも口内炎に関する情報が提供されています。
6.2 病院で行われる口内炎の専門的な治し方
病院では、口内炎の種類や原因、症状の程度に合わせて、市販薬よりも効果の高い治療や専門的な処置が行われます。主な治療法には、薬物療法とレーザー治療があります。
6.2.1 処方薬による治療
症状に応じて、以下のような薬が処方されます。市販薬よりも有効成分の濃度が高いものや、市販されていない種類の薬が用いられることがあります。
薬の種類 | 主な特徴と目的 | 剤形例 |
---|---|---|
ステロイド薬 | 炎症を強力に抑え、痛みや腫れを軽減します。アフタ性口内炎など、炎症が主な原因の場合に有効です。 | 軟膏、付着錠(貼り薬)、うがい薬 |
抗菌薬・抗真菌薬 | 細菌感染や真菌(カビ)感染が疑われる場合に処方されます。原因菌を特定し、それに合った薬が選択されます。 | 軟膏、うがい薬、内服薬 |
抗ウイルス薬 | ヘルペスウイルスなどが原因のウイルス性口内炎の場合に用いられます。ウイルスの増殖を抑えます。 | 軟膏、内服薬 |
痛み止め | 痛みが強い場合に、対症療法として処方されることがあります。 | 内服薬、うがい薬 |
ビタミン剤 | 粘膜の健康維持や修復を助ける目的で、ビタミンB群などが処方されることがあります。補助的な治療として用いられます。 | 内服薬 |
漢方薬 | 体質改善や免疫力向上を目的として、症状や体質に合わせて処方されることがあります。 | 内服薬 |
特にステロイド薬は効果が高い反面、感染症を悪化させる可能性もあるため、医師の診断のもとで正しく使用することが重要です。自己判断での使用や長期連用は避けましょう。
6.2.2 レーザー治療という選択肢
近年、歯科医院で口内炎の治療にレーザーを用いるケースが増えています。レーザー治療には、主に以下のようなメリットが期待できます。
- 痛みの軽減:レーザー照射により、患部の神経を鈍麻させ、痛みを和らげる効果が期待できます。多くの場合、照射直後から痛みが軽減します。
- 治癒の促進:レーザーの熱エネルギーが患部の組織を活性化させ、殺菌・消毒効果もあるため、口内炎の治りを早める効果が期待されます。
- 処置時間の短さ:治療自体は数分で終わることが多く、麻酔も通常は不要です。
- 副作用が少ない:薬物療法のような副作用の心配が比較的少ないとされています。
レーザー治療は、特に痛みが強いアフタ性口内炎や、食事の際にしみやすい口内炎に対して有効な場合があります。ただし、すべての口内炎に適しているわけではなく、実施している歯科医院も限られます。また、健康保険が適用されない場合もあるため、費用については事前に確認が必要です。レーザー治療に関心がある場合は、対応可能な歯科医院に相談してみましょう。
7. もう繰り返さない 口内炎の予防方法
一度治っても、繰り返しできてしまうのが口内炎の厄介なところです。しかし、原因を知り、適切な予防策を講じることで、口内炎ができにくい体質・口腔環境を目指すことができます。ここでは、日常生活で見直せるポイントと、効果的な口腔ケアについて詳しく解説します。
7.1 生活習慣を見直して口内炎を予防する
口内炎の多くは、体の内側のバランスが崩れることで引き起こされます。日々の生活習慣を見直すことが、根本的な予防につながります。
7.1.1 バランスの取れた食事を心がける
栄養バランスの偏り、特にビタミンB群の不足は、口内炎の大きな原因となります。粘膜の健康を維持するために、以下の栄養素を意識的に摂取しましょう。
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品例 |
---|---|---|
ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の保護、細胞の再生を助ける | レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉物野菜 |
ビタミンB6 | 皮膚や粘膜の健康維持、免疫機能の維持 | マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ、にんにく |
ビタミンC | コラーゲンの生成を助け、粘膜や皮膚の健康を保つ、免疫力を高める | 赤ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、いちご、柑橘類 |
ビタミンA | 皮膚や粘膜の健康を維持する | レバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草など) |
亜鉛 | 細胞の新陳代謝を促進し、傷の治りを助ける | 牡蠣、牛肉、豚レバー、チーズ、大豆製品 |
特定の食品に偏らず、様々な食品を組み合わせ、主食・主菜・副菜をそろえることを意識しましょう。外食やコンビニ食が多い方は、野菜や果物をプラスする、栄養成分表示を確認するなどの工夫が大切です。厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」も参考に、日々の食生活を見直してみましょう。
7.1.2 ストレスを上手に解消する方法
過度なストレスは免疫力を低下させ、口内炎を引き起こす誘因となります。現代社会でストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりの解消法を見つけて、溜め込まないようにすることが重要です。
- 軽い運動: ウォーキングやジョギング、ヨガなどは気分転換になり、ストレスホルモンの分泌を抑える効果が期待できます。
- 趣味に没頭する時間: 読書、音楽鑑賞、映画鑑賞、ガーデニングなど、好きなことに集中する時間は心をリフレッシュさせます。
- リラクゼーション: 入浴、アロマテラピー、深呼吸、瞑想などで心身の緊張をほぐしましょう。
- 十分な休息: 忙しい中でも、意識的に休息時間を確保することが大切です。
- 信頼できる人との対話: 家族や友人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
ストレスの原因から距離を置いたり、考え方を変えてみたりすることも有効です。一人で抱え込まず、必要であれば専門家のサポートも検討しましょう。厚生労働省の「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」など、相談窓口に関する情報も参考になります。
7.1.3 質の高い睡眠を確保する
睡眠不足は、免疫力の低下や体の修復機能の遅れを招き、口内炎ができやすく、治りにくい状態につながります。単に長く寝るだけでなく、「質の高い睡眠」を意識することが大切です。
- 規則正しい生活リズム: 毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が整い、自然な眠気につながります。
- 快適な寝室環境: 静かで暗く、適切な温度・湿度の寝室を作りましょう。自分に合った寝具を選ぶことも重要です。
- 就寝前の習慣を見直す: 寝る前のカフェイン摂取や激しい運動、スマートフォンやパソコンの使用は避けましょう。ぬるめのお風呂や軽いストレッチはリラックス効果があります。
- 昼間の過ごし方: 日中に適度な運動をし、太陽光を浴びることは、夜の快眠につながります。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、日中に眠気を感じることなく、すっきりと活動できる状態が目安です。厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠指針」なども参考に、睡眠習慣を見直してみましょう。
7.2 口腔ケアで口内炎ができにくい環境を作る
口の中を清潔に保ち、口内炎の原因となる細菌の増殖や粘膜への刺激を減らすことは、非常に重要な予防策です。毎日の丁寧なケアと、定期的なプロフェッショナルケアを取り入れましょう。
7.2.1 正しい歯磨きと口内清掃の習慣
不十分な歯磨きは、食べかすや歯垢(プラーク)が残り、細菌の温床となります。これが口内炎の原因になったり、悪化させたりすることがあります。以下の点を意識して、丁寧な口腔ケアを習慣づけましょう。
- 適切な歯ブラシ選び: 自分の口の大きさや歯並びに合ったヘッドの大きさ、硬さの歯ブラシを選びましょう。毛先が開いた歯ブラシは清掃効果が落ちるので、定期的に交換(目安は1ヶ月)します。
- 正しいブラッシング: 歯ブラシを鉛筆のように持ち、軽い力で小刻みに動かします。歯と歯茎の境目、歯と歯の間、奥歯の噛み合わせ面などは特に丁寧に磨きましょう。力を入れすぎると歯茎を傷つけ、逆効果になることもあります。
- 歯間ケアの徹底: 歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れ(約6割)は落としきれません。デンタルフロスや歯間ブラシを毎日使用し、歯垢をしっかり除去しましょう。
- 舌の清掃: 舌の表面に付着する白い苔(舌苔)も口臭や細菌増殖の原因になります。舌専用のブラシやクリーナーを使い、奥から手前に優しく数回こすって清掃しましょう。やりすぎは舌を傷つけるので注意が必要です。
- 食後のケア: 毎食後、可能な限り歯磨きをするのが理想です。難しい場合は、うがいをするだけでも効果があります。
正しい歯磨き方法については、日本歯科医師会のウェブサイト「歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」なども参考になります。
7.2.2 定期的な歯科検診のすすめ
毎日のセルフケアに加えて、歯科医院での定期的なチェックとクリーニングを受けることが、口内炎予防には非常に効果的です。
- プロによるクリーニング: 自分では落としきれない歯石やバイオフィルム(細菌の膜)を専門的な器械で除去してもらえます。これにより、口内炎の原因となる細菌を減らすことができます。
- 虫歯や歯周病の早期発見・治療: 虫歯や歯周病があると、口内環境が悪化しやすくなります。早期に発見し治療することで、口内炎のリスクも低減できます。
- 口腔粘膜のチェック: 口内炎だけでなく、他の口腔粘膜の異常(初期のがんなど)を早期に発見してもらえる可能性があります。
- ブラッシング指導: 自分の磨き方の癖や、磨き残しやすい箇所を指摘してもらい、より効果的なセルフケアの方法を学べます。
- 詰め物・被せ物・入れ歯のチェック: 不適合な修復物や入れ歯が粘膜を傷つけ、口内炎の原因になることがあります。定期的にチェックし、必要であれば調整してもらいましょう。
特に問題を感じていなくても、3ヶ月から半年に1回程度の定期検診を受けることをおすすめします。かかりつけの歯科医を見つけ、継続的に口腔内の健康管理をしてもらうことが理想的です。詳しくは、日本歯科医師会のウェブサイト「歯とお口のトラブル」のセクションなどもご覧ください。
8. こんな症状は要注意 病院へ行くべき口内炎のサイン
ほとんどの口内炎は自然に治癒しますが、中には注意が必要なケースもあります。単なる口内炎だと自己判断せず、医療機関の受診を検討すべき症状のサインを知っておくことが大切です。放置することで症状が悪化したり、他の深刻な病気の発見が遅れたりする可能性も考えられます。以下に示すような症状が見られる場合は、早めに歯科、口腔外科、あるいはかかりつけ医に相談しましょう。
8.1 口内炎が2週間以上治らない
通常、一般的なアフタ性口内炎であれば、1週間から長くても2週間程度で自然に治ることがほとんどです。しかし、口内炎ができてから2週間以上経過しても改善の兆しが見られない、あるいは悪化しているような場合は注意が必要です。治りにくい口内炎の背景には、以下のような可能性が考えられます。
- 難治性の口内炎: ベーチェット病などの自己免疫疾患や、その他の全身疾患の一症状として口内炎が現れている場合があります。
- 感染症: 細菌やウイルスの感染が原因で、通常の口内炎とは異なる治療が必要な場合があります。
- 口腔がん(舌がん、歯肉がんなど): 口内炎と似た症状で始まることがあり、特に初期の口腔がんは口内炎と見分けがつきにくいことがあります。しこりがある、潰瘍の縁が硬い、出血しやすいなどの特徴が見られることもありますが、見た目だけでは判断が困難です。早期発見が極めて重要ですので、疑わしい場合は必ず専門医の診察を受けてください。(参考: 公益社団法人 日本口腔外科学会 口腔がん)
自己判断で様子を見続けるのではなく、長引く場合は必ず専門医に相談しましょう。
8.2 口内炎の数が多い 広範囲に広がっている
口内炎が口の中に1つや2つではなく、多数同時に発生している場合や、頬の内側、舌、歯茎など広範囲にわたって口内炎が広がっている場合も、単なるアフタ性口内炎ではない可能性があります。
- ウイルス性口内炎: ヘルペスウイルスなどが原因で、多数の小さな水疱(水ぶくれ)ができ、それが破れてびらんや潰瘍になることがあります(ヘルペス性口内炎)。発熱などの全身症状を伴うこともあります。
- 全身疾患の影響: 自己免疫疾患や特定の感染症など、全身的な問題が口の中に症状として現れている可能性も考えられます。
口内炎の数や範囲が尋常でないと感じたら、原因を特定するためにも医療機関を受診することが推奨されます。
8.3 強い痛みや発熱など 全身症状を伴う
口内炎の痛みだけでなく、以下のような全身症状を伴う場合は、注意が必要です。
- 飲食が困難なほどの強い痛み
- 高熱(38度以上など)
- 体のだるさ(倦怠感)
- 首のリンパ節の腫れや痛み
- 皮膚の発疹
これらの症状は、ウイルス感染症(ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、手足口病など)や細菌感染症、あるいは他の全身疾患のサインである可能性があります。特に小さなお子さんの場合、これらの感染症にかかりやすいため注意が必要です。全身症状がある場合は、単なる口内炎として軽視せず、内科や小児科、あるいは歯科・口腔外科を受診して適切な診断と治療を受けましょう。
8.4 何度も繰り返し口内炎ができる
年に数回程度であれば体調によるものかもしれませんが、月に何度も、あるいは常に口内炎ができているような状態(再発性アフタ性口内炎)が続く場合も、一度原因を探ることをお勧めします。
- 栄養不足: ビタミンB群(特にB2、B6、B12)、鉄分、亜鉛などの栄養素が慢性的に不足している可能性があります。
- 免疫力の低下: 慢性的なストレスや睡眠不足、疲労などが原因で免疫力が低下し、口内炎ができやすくなっている可能性があります。
- 特定の疾患: ベーチェット病は、再発性のアフタ性口内炎を主症状とする疾患の一つです。他にも、クローン病などの消化器疾患や、自己免疫疾患が関連している場合もあります。
- アレルギー: 特定の食品や歯科金属などに対するアレルギー反応として口内炎が繰り返し現れることもあります。
頻繁に繰り返す口内炎には、生活習慣の問題だけでなく、何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。原因を特定し、適切な対策や治療を行うために、医療機関で相談してみましょう。
以下の表は、病院受診を検討すべき口内炎の症状の目安をまとめたものです。
症状 | 注意点・考えられること |
---|---|
2週間以上治らない | 難治性口内炎、感染症、口腔がんなどの可能性があるため、自己判断せず専門医へ。 |
数が多い・広範囲 | ウイルス感染症(ヘルペス性口内炎など)や全身疾患の可能性。原因特定が必要。 |
強い痛み・発熱・全身症状 | 感染症(ウイルス性、細菌性)や他の全身疾患のサイン。速やかな受診を推奨。 |
何度も繰り返す | 栄養不足、免疫力低下、ベーチェット病などの全身疾患、アレルギーの可能性。根本的な原因究明が必要。 |
これらのサインに気づいたら、「たかが口内炎」と軽視せず、早期に適切な医療機関(歯科、口腔外科、場合によっては内科や皮膚科など)を受診するように心がけましょう。
9. まとめ
つらい口内炎は、ストレスや疲れ、栄養バランスの乱れ、口内の傷や不衛生な状態、生活習慣の乱れなど、様々な原因によって引き起こされます。アフタ性やカタル性など種類によっても原因は異なります。基本的な治し方としては、市販薬の使用、うがい薬での口内清浄、ビタミンB群などを意識した栄養摂取、十分な睡眠が挙げられます。痛みを和らげるには、はちみつや塩水うがいといった裏ワザも有効です。症状が長引く場合や悪化する場合は、歯科など医療機関を受診しましょう。口内炎を繰り返さないためには、生活習慣の見直しと正しい口腔ケアによる予防が最も重要です。
この記事の監修者
尾立 卓弥(おだち たくや)
医療法人札幌矯正歯科 理事長
宮の沢エミル矯正歯科 院長
北海道札幌市の矯正専門クリニック「宮の沢エミル矯正歯科」院長。
日本矯正歯科学会 認定医。